本の探し方のコツは、本を見る目を養うこととと本を探す技術を向上させること。
その両方について考えてみたいと思います。

本探しのコツは?

 

 
Wellcome here. You are the finest visitor of this site. Thank you.

 
 ■トップへ

 ■はじめての方に
 ■サイトマップ
 ■What's New

 ■本の探し方のコツは?
 ■ネット書店で探そう!
 ■大きな本屋さんで探そう!
 ■地元の本屋さんで探そう!
 ■本の街・神田で探そう!
 ■ネット古書店で探そう!
 ■公共図書館で探そう!

 □雑誌の定期購読を
 してみよう!

 □雑誌の読み方探し方
 □何でもいいから
 いつも読みたい!


 ■ 編集後記


 

本の探し方のコツは?(2006.11.29.)

本の探し方のコツを一般化できるか

本の探し方のコツ。この問題を一概に語るのはほとんど不可能かもしれません。本を読み始めたばかりの中学生と、すでに読書生活に入って数十年経った人では、必要とするノウハウは全く違ったものになるからです。本は読めば読むほど、本のほうから私たちに「読んでくれ!」と誘いかけてくるようになります。逆に読書の情熱を失ってしまうと、どんなに面白い本でも何も語りかけてこなくなります。それは他のあらゆるジャンルと同じく、人生そのものの機微に属することです。

その人の置かれている状況によって、有効な本探しの方法は全く異なるものになりますから、あまり一般的なことを話しても仕方がないかもしれません。しかし、近年のネットの発達によって、本を探す方法は劇的な変化を遂げつつあるといっていいと思います。ただそれが全く同じ理由から本を読む側の変質も招いているので、求める側と求められる側の関係も10年前の予想とはかなり異なったものになってはいます。

本の探し方の「王道」は書店で本を睨みつけ、自腹で本を買うこと

本を探すための王道は何か。いろいろな考え方は在りますが、まずは書店に行くこと、ではないかと私は思います。書棚の前で、本が何か語りかけてくるのを待つ。もちろん、こちらも「何か面白い本」を見つけるぞという気構えで目を皿のようにして書棚を睨みつけなければなりません。とりあえずは手当たり次第にすべての書棚を見てやろうというくらいの気合で見つめるのがいいかと思います。いいな、と思う本はちら、ちら、と現れ始めます。それをぱらぱらと見てみる。向うから何か話し掛けるものがあったら――つまりその本に興味を引かれたら、とりあえず書棚に本を戻し、それを心に留めておく。そしてまたサーチに出かける。それを時間の許す限り繰り返して、何冊かの候補を見つけ出し、その日の予算に照らし合わせて買う本と冊数を決める。あまりたくさん買っても読みきれません。それに本というものはどんなジャンルのものでも間違いなく当たり外れがあります。ある程度は駄本も買ってしまうリスクを覚悟の上で買わなければなりません。もちろんその悔しい思いがさらに本を見る目を磨くことになるからです。

本を見る目を磨く

本を探すための王道は何か。つまり、それは本を見る目を磨くこと、に尽きる。そしてそれは、やはり自腹を切って、自分の貴重な資金を費やすことによってしか磨かれないのだと思います。あまり貧乏だと資金がなくてこの方法は取れませんし、あまり金持ちだと駄本一冊の値段に心底悔しい思いをすることも難しいでしょう。骨董を見る目は骨董を買うことによってしか磨かれないと小林秀雄が書いていましたが、結局それはなんでもそうで、書籍も例外ではありません。そして骨董が自分だけの宝(人が見たらば蛙になれ、と目利きの青山二郎は言いました)であるのと同様、他の人にとっては駄本でも自分にとってはかけがえのない一冊という場合もあり、そういう一冊を見出すことは悦楽であることは言うまでもありません。

そこまで話を大げさにしなくても、たとえば実用書、Mobvable Typeの参考書を見つけるというような場合でも事情は同じで、自分の知識とスキルのレベルによって必要となる本は全然違うはずです。こういうものは他人の評判を鵜呑みにしてもだめで、その評者がどれくらいのレベルなのかによってそれをどう受け止めればいいのかは全然変わって来ます。amazonのレビューなどではそのあたりが曖昧ですから、こういう本を中身を見ないで(つまりネットで)買うということはかなりのリスクが伴います。

本を探す技術―ネットは革命的なイノヴェーション

もっと技術的な話にしましょう。世の中には一冊しかない本、というものがあります。そうした本は、たいてい図書館に厳重にしまわれているものです。そうした本を閲覧するためにはさまざまな手続きが必要で、閲覧者が資格(大学等の研究機関に属する研究者であることなど)を満たしていなければ見ることが出来ない、というものも多くあります。そうした本であっても近年では所蔵しているという事実自体はネットで公開されていることが多いですし、さまざまなつてをたどることで閲覧が可能になる場合もないとはいえませんから、どこに何があるかという情報自体をつかんでおくことはそうしたチャンスをつかむ上では重要だといえるでしょう。またそういう貴重書の画像をネットで公開している場合もあります。現物ではありませんが、そのようにして文章自体は読むことができる場合もあります。

こうした例でわかるように、図書館・研究機関の蔵書は現在、相当程度自宅のネットで調べることが出来ます。わずか十数年前に比べても、その手軽さは問題にならないほどです。

探したい本が決まっている場合、このように図書館で探すこと、古書店で探すこと、新刊書で探すことと、いくつかの選択肢が出てきます。所属している図書館が少なく、手続きが面倒な場合などは案外古書店で探した方が(値段はともかく)容易である場合もよくあります。また10年程前の書籍であっても場合によっては新刊書店に残っていることもありますから、あきらめない方がいい場合もあります。

新刊書や古書店での入手が困難な場合は、図書館というのは大きな手助けになることはいうまでもありません。このあたりのことは『公共図書館で探そう!』に書きましたので繰り返しませんが、区立図書館・市立図書館などでもその蔵書は案外侮れないものがあります。

図書館利用はオールマイティか

人によっては新刊書も含めて読む本は図書館で借りるだけ、という人もあるでしょう。公共図書館はもちろん税金で運営されているものですから、それを積極的に利用するということは市民としての正当な権利の行使でもあります。しかし図書館の本というものは自分のものではありません。たとえ新書であろうと文庫であろうと、線を引くことも出来ませんしページを折ることも出来ません(たまにそういう本を見かけますが、明らかにマナー違反、場合によっては器物損壊ですね)。自分の本棚の一角をいつまでも占領させておく、ということもできません。やはり図書館の本というものは、自分にとって「一過性のもの」という地位を去ることは出来ないのです。大事な本であれば、手に入らない場合を除いて、やはり自分のものにしたいものです。その本を持つことに意味がある、そういう本に出会うことは、人生にとって重要なことです。図書館の本ばかりを読んでいると、ある意味そういう本との出会いが限られたものになってしまう可能性は大いにあると思います。

しかし、とにかくいろいろな本を読みたい、という場合、あるいは資金的に難点がある、という場合には図書館を積極的に利用しない手はありません。図書館の本というのは、短い間だけ関係を持つことができる、別れる運命にある恋人や、一時的に師事する師匠のようなもので、経験を積むという点では大きな意味があると思いますが、それを基盤に人生を組み立てるということを考えると、その本たちが自分のものでないということはいろいろと不都合なことは出てくると思います。

結論から言うと、10代、あるいは大学生の頃はとにかく積極的に図書館を利用すべきでしょう。そしてその中で大事な本と出会い、それを手に入れていく。あるいは面白いと思った本が駄本でも、少なくとも経済的なダメージはありませんから、若者の味方であるといえます。また社会人になってからも、仕事でどうしても必要な本は買わざるを得ませんが、ほんの少しだけ知識を仕入れればいいとか、出先で急に本を見なければいけない場合などは図書館は無駄なコストと手間を省くという点で役に立ちます。図書館で必要な作業をする際に、(最近はノートパソコンの使用できる環境を備えた図書館も増えてきました)自宅にはあっても持ち歩くことが面倒な書籍などを図書館で利用できることは大変ありがたいことです。

「本を見る目」と「本を探す技術」

さてここまで書いたことを整理してみると、本を探すコツ、というのは大きく分けて二つある、ということになると思います。一つは自腹を切る、つまりリスクを覚悟で本を買い、本を見る目を養うこと。もう一つは本を探す技術を向上させること。こちらは、現在ではやはりネットを軸に組み立てるのが有効であると思います。図書館で探す場合古書店で探す場合新刊書店で探す場合、それぞれの方法について考察してありますので、該当のページをご覧下さい。

他力による本探し―口コミ、mixi、ブックレビュー、読書案内

ここまでは自力で本を探す方法について考えてきました。今度は、他力で本を探す方法について考えてみましょう。

他力というのは要するに、他の人に本を紹介してもらうということです。この方法は侮れません。私は基本的に自力信仰の少年でしたし、現在でもそういう人間なのですが(つまり人のいうことを聞かない人間ということですが・笑)、有益なブックガイドに出会うことでその考えはかなり変わりました。今では人から紹介された本はぐずぐずいいながらもかなりの確率で読んでいます。そしてそれはかなりの確率であたります。

「他力」の一番原始的な方法は口コミでしょう。友人と何の気なしに話をしているうちに本の話題になり、それを読んでみる、ということはよくあることと思います。現在ではコミュニケーションの手段も広がりました。10年前ならたとえばパソコン通信、現在なら掲示板やmixiなどのコミュニケーションの場で紹介されることも多いと思います。またそれを商業的に組織しようとしているのがamazonのブックレビューであったりセブンアンドワイの「みんなの書店」であったりするわけです。こちらは純粋な口コミとはいえませんが、いろいろな本についていろいろな意見を聞く機会を得る、という点では役に立つ場合もあると思います。もちろん、自分と視点が違う意見ばかりで全く参考にならないということも往々にしてありますが。

そこで重要になってくるのがブックレビューの存在です。雑誌や新聞の書評が最もポピュラリティのあるメディアでしょう。こういうものはプロの書評家が書いている(書評で原稿料を取っているという意味で)ので、その評価は書評家個人の責任に裏付けられていますから、意見の違いはあってもその真剣度においては考慮していい場合が多いです。ネット上の書評は千差万別で、基本的に無料で閲覧できるわけですから、ある程度は割り引いて考えなければならない場合が多いでしょう。私も『本を読む生活』というサイトを作っていますので、参考にしていただければ幸いです。

読書案内のあれこれ

中でも最も信頼が置け、多くの人が継続的に利用していると思われるのが読書案内の書籍です。最近は『このミステリーがすごい!』などのように新しい本を紹介するものもありますし、古典も含めて「読むべき本」を提示し、「読書家」を養成することを目的とした本もあります。

こうした本の中で、私が影響を受けた、あるいはよいと思った書籍をいくつかご紹介したいと思います。

読書家の新技術

朝日新聞社

このアイテムの詳細を見る

呉智英

私が大学時代、最も影響を受けたブックレビューがこの本です。文芸批評家の小谷野敦氏も『バカのための読書術』でこの本を取り上げています。小谷野氏と私は同世代なので、ある一定の影響力をこの本は持ったのだということがわかります。

この本の特徴は、さまざまなジャンルの「読むべき本」をリストアップして簡単に紹介し、それを読んでいくと「今必要とされる教養」が一通り身につくだけでなく、読んで面白い本が多い、ということにあったと思います。私もこの本にリストアップされていた本をずいぶん読みましたし、それによって考え方の傾向がある程度決定した本でもあります。20年以上前の本ですので、内容的にはやや古いところもあります。

バカのための読書術

筑摩書房

このアイテムの詳細を見る

小谷野敦史

これは比較的最近の本ですが、呉氏の提示する書籍をこなした上でそれを批判的に発展させようという姿勢が見られ、興味深い本です。私も全面的に賛成するというわけではありませんが、なるほどと思う個所はたくさんあります。

現代歴史学の名著

中央公論社

このアイテムの詳細を見る

樺山紘一編 中央公論社

中公新書の『〜の名著』シリーズは参考になるものがたくさんあります。一線の学者がそのジャンルでの推薦図書を紹介しているので、そのジャンルで基礎になる文献がどのようなものがあるのか、初学者にとって、あるいは門外漢にとって参考になるものがたくさんあります。私は『現代社会学の名著』『現代政治学の名著』などを利用しています。

ほかにも何冊かありますが、順次紹介していきたいと思います。

自分の「本探し」を見直してみよう!

さて、『コツ』と思われることをいくつかご紹介してきました。こんなことならわかっているよ、ということがほとんどだった方もあるかもしれませんが、再度自分の本探しについて、見直していただくきっかけになったら、また新たなる読書世界の広がりがもたらされるかもしれません。そんなことがあったらいいなあと、私は夢想しています。



このサイトに掲載の一切の作品の著作権はkous37にあります。Copyright(C) 2006 Kous37. All rights reserved.