7.紙幣デザインについて思ったこと:国家権力とバランス/大谷通訳賭博事件と「クレバーなだけでは足りない」こと/トランプの「閉じこもる偉大なアメリカ」とバイデン・岸田の「正常化と活動家跋扈」/モスクワへのテロと「権威主義の一番弱い輪」を狙うイスラム過激派(03/23 10:06)


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いずれにしても、紙幣は国家権力を象徴するものなので、バランスの取れた人選、その時の風潮にあまり左右されない人選が重要だと思う。数十年後、次の改定の時にはどのような人物が選定されるのだろうか。

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プロ野球も開幕直前になって大谷選手の通訳の賭博問題が持ち上がり、異様な雰囲気になってきているが、これについてはまだわからないことが多いので考えることはまだ書かないけれども、基本的には「若くして億万長者になった経験の少ないスポーツ選手」一般をめぐる問題が、今までの選手に比べて相当クレバーであると思われていた大谷選手にも起こった、ということなのだろうと思う。そういう意味ではこういう問題は地頭がいい、普通の意味でクレバーであれば防げるという問題ではなく、「世間を知っている」「人間の弱さを知っている」人間でないと想像できない範囲のことが起こったのだろうなと思う。

大谷選手は今までの野茂選手やイチロー選手のような時に反発を呼ぶような突出した個性がない。そういう意味では松井選手に似ているが、松井選手は松井選手である意味苦労してきている部分も感じたけれども、大谷選手は本当にまっさらな理想主義者としてここまできていたのは、WBCのインタビューなどでも感じられた。韓国を挑発して反発を食ったイチロー選手などとは違い、中国やアジアに野球が普及していくことを純粋に望んでいるような、ナチュラルな優等生で、これからの国際的アスリートはこういう人になっていくのかなと思わされたが、この事件を見るとこういう古典的なところに落とし穴があるのだなということは改めて思ったのだった。

報道を見る限りは大谷選手は純粋な被害者のようなので、あまり累が及ばないといいなと思うが、これからの若くして成功したスポーツ選手らが気をつけるべきことは、今までとそう変わらないのだなと改めて思ったのだった。

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アメリカ大統領選挙でトランプ元大統領が相当な支持を獲得していて、日本でもそれを恐れる雰囲気があるが、前回の在任期間は安倍元首相という最高のカウンターパートがいたために、日本にとってはむしろプラスになっていたように思う。今回は安倍さんの暗殺によりそういう人がいないのが怖いけれども、日本と世界にとってバイデン大統領とどちらがいいのかは割と微妙な問題だなと思っている。

昨年LGBT法案が成立したのはエマニュエル大使の強力なプッシュが影響したことは間違い無いと思うが、こうした人材はアメリカが民主党政権であれば周辺国に押し付けてくる可能性はあるわけである。共和党政権であればそうしたことはあまり考えないで済むので、その意味でもトランプの方がマシである可能性はかなりある。

また、トランプは「自分が大統領であればウクライナ戦争は起こらなかった」と言っているが、これはその可能性はあったと思う。ただそれがウクライナの犠牲のもとに起こらなかったということである可能性はある。実際問題としてバイデン政権はウクライナロビーが強く、トランプ政権ではイスラエルロビーが強かったので、トランプは自分が大統領になった時の世界を現在のアメリカの方針とはかなり違う方向に定める可能性はかなりあるだろう。

例えばパレスチナ問題について、彼はパレスチナ国家の建設に反対し、ガザはエジプトに、西岸はヨルダンに併合されるべきとしていて、ある意味第3次中東戦争の前の状態が自然だと考えているわけである。しかしその状態からパレスチナゲリラが活動してパレスチナが現在の準国家的な地位を獲得していることは無視しているわけで、その辺は大きな火種になるだろう。

前回のトランプ政権の際は大きな戦争は起こらなかったわけだけれども、もし次の政権になった時は中東方面は割と危ない感じはする。中国政策をどうするかはわからないが、トランプはアメリカに直接関係のないところでの紛争介入は好まないので、現状維持でいくだろうとは思うのだが、「安倍晋三回顧録」を読むとトランプは安倍さんにかなり意見を求めているので、安倍さんを失ったトランプがどういう対応を中国にしようとするのかは少し怖いところはある。

バイデン政権の世界への対応は、岸田さんが日本で今やっていることと同じく基本的に「正常に戻す」方向の政策なのだが、しかしそれが国内ではあまり支持を得られなくなってきていることも確かで、またウクライナでもガザでも目立った成功を収められていないのは、やはり時代のフェーズが変わりつつあることを意味しているのだろうとは思う。その中でポリコレリベラル政策を日本そのほか世界に押し付けようとする活動家勢力が政権に巣食っていることはよりマイナスの影響を持つだろうと思う。

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モスクワで大規模なテロが行われ、イスラム国が犯行声明を出したという。このタイミングでのイスラム過激派によるロシアに対するテロは少し意外な感じがしたが、Twitterを読んで指摘をされてみたら、ウクライナに兵力を送りすぎて治安関係が成り立たなくなっている隙を突かれたのだというのはとてもよくわかる話で、盤石に見えるプーチン体制も人的な部分で綻びが出てきたのだと言えるのだろう。


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