6.「ふつうの軽音部」と21世紀の日本ロック/インドにおける仏教の滅亡/日本に都合のいい「冷戦構造の復活」と「再多極化への備え」(03/24 10:44)


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日本が多極化した世界である程度の地位を持つためにはロシア・中国・アメリカも一目置かざるを得ない程度の軍備は持たざるを得ないわけで、その具体的な例はトルコだと思う。トルコはNATOの中でも独自の発言力を持ち、EU入りを諦めたことでヨーロッパに圧力を持てるようになった。核を持たずにあれだけの影響力は持てるわけで、トルコは日本の進路についての一つの見本たりうるのではないかと思う。

トルコは大陸の要に位置し、それゆえに巨大な陸軍国家であることがその重みを持たせているわけだけど、日本は周りが海だから重要なのは基本海軍、もとい海上自衛隊の増強だろうと思う。シーレーン防衛と中露を自由に太平洋に出さない実力を持つことが重要だと思う。アメリカ第七艦隊の肩代わりをできる程度の力は持ちたいところ。

まあ私などは物心ついた時から30前後の時期まで冷戦構造が続いていたから特に特異な状況だとは思わない、という感じはあるのだよな。核戦争の脅威が一応はなくなったというのが冷戦終結の大きなメリットだったとは思うが、軽武装日米同盟の路線が冷戦終結で雲散霧消しそうになったのは第一次世界大戦後に日英同盟が失われたのと同じくらいの危機だったのかもしれないと今にしては思う。

日本はそれから孤立化→敗戦の道を辿ったが、失われた30年はずっと経済敗戦ではあり少子高齢化で国のもといもやばくなってはいるが、自国の軍備を強化しつつ日米同盟の重要性も再認識されてきたのは単純に日本にとってはプラスだっただろうと思う。

日本には米英間のような「生まれた時からの同盟関係」みたいなものはないので(もちろんこれは第一次大戦後イギリスの没落とアメリカの勃興で実現したものだが)とにかく強固な同盟関係を持ち続けることは生き残るためには必須だろうなと思う。ただ再び多極化してきたときにアメリカに頼らずに自立できるだけの国力は持っていないとやばいということではあろうと思う。

日本が日清・日露の両戦争で二つの陸軍超大国に勝利を収められたのは、海軍大国であるイギリスと日英同盟を結んでいたことはもとより、アメリカが好意的に仲裁に入ってくれたことが大きかったわけだけど、日本の国内的には「陸軍超大国に勝った」ことによって長州閥の陸軍が強くなりすぎたことが言える。

その結果満洲をはじめとする中国権益に強くこだわるようになり、満洲鉄道をめぐるアメリカ側の申し入れを拒絶したり、中国を思い通りにしようとする方向に動いたことが米英の反発を買ったことが失敗の原因として大きかったのだなと思う。第一次世界大戦の結果、ロシア・中国・ドイツ・オーストリア・トルコといった陸軍超大国が衰退し、米英の海軍超大国が覇権をはっきり握ったことによって、近衛文麿など反英米のスタンスを取る人物が日本で力を持ってしまったことも大きかったかもしれない。

日本は戦勝五大国の一角を占めたとはいえ非欧米人の国家であり、また国力においても1.5流の国であったことは確かで、欧米と肩を並べようとして背伸びをしすぎるところもあったのは確かだろう。そうした歪みが朝鮮における植民地政策や対中政策などに現れていたこともまた確かだろうと思うし、左翼のいうような形ではなくても歴史から学べることは少なくはないと思う。

現在は比較的安定した日米関係によって安全保障上の問題はそんなに大きくはないが、それはアメリカの軍事力の存在を前提にしているからで、そのプレゼンスがなくなったら一気に日本が危機に陥ることは間違いないだろう。アメリカが東アジアないし西太平洋に軍事的重点を置いているのはアメリカの都合なのだから、それが変われば瞬時に引き上げる可能性も忘れてはならないと思う。その時のために備えることは、国の生存には欠かせないことだろう。


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