6.紙幣デザインについて思ったこと:国家権力とバランス/大谷通訳賭博事件と「クレバーなだけでは足りない」こと/トランプの「閉じこもる偉大なアメリカ」とバイデン・岸田の「正常化と活動家跋扈」/モスクワへのテロと「権威主義の一番弱い輪」を狙うイスラム過激派(03/23 10:06)


< ページ移動: 1 2 3 >

中国が香港やウイグル、南モンゴルなどで弾圧政策を行い、台湾に武力的な脅しをかけ、東南アジア諸国も衛星国化しようと隠然たる力を持ち得ているのはロシアのような無駄な戦争をやっていないから、ということもまた明らかになった。そういう意味で権力保持に腐心する習近平政権はしばらくは安全かもしれない。

一方のロシアは国際的な活動をアフリカやシリアなどでも展開しているが、そこで利益的に競合するのがイスラム過激派であると考えてみると今回のテロがロシアに向けられた理由もわかってくる気がする。

今回のテロは昨年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃に刺激されてのことは間違いないと思うが、ハマスは今でこそイスラエルに徹底的に追い詰められているけれどもイスラム過激派の世界では彼らは絶対的に英雄視されていると思うし、それに追随する動きが今まで起こらなかったことが不思議だという気もする。今の彼らにとって西欧諸国やアメリカを攻撃するより、治安の隙が多いロシアを標的にするというのは考えてみたらリーズナブルなことなのだろう。

歴史的にロシアは国内に多くのイスラム教徒を抱えているし、ロシア帝国の成立自体がそういう言い方はされないけれどもある種のレコンキスタのようなものである。強いロシアの復活を図るプーチンの存在はその意味ではイスラム過激派を刺激していると思うし、多くのイスラム系住民がウクライナ戦争に駆り出され命を落としていることもまた、彼らがロシア国家を標的に掲げるのに十分な理由になっているのだと思う。

ロシアはウクライナ戦争でかなり無理をしているので、そういう意味でロシアは「権威主義の一番弱い輪」であると言えるかもしれない。レーニンがロシア帝国を「帝国主義の一番弱い輪」と呼び、第一次世界大戦の負担に耐えきれない帝国を打倒して革命に成功したようなことが、これからロシアで起こる可能性は十分にあるのだが、一体誰が次の主人公になるのかはまだわからないわけで、これからも最も大きな世界の不安定要素であり続ける可能性は強いかもしれないという気はする。



< ページ移動: 1 2 3 >
6/5065

コメント投稿
次の記事へ >
< 前の記事へ
一覧へ戻る

Powered by
MT4i v2.21