6.紙幣デザインについて思ったこと:国家権力とバランス/大谷通訳賭博事件と「クレバーなだけでは足りない」こと/トランプの「閉じこもる偉大なアメリカ」とバイデン・岸田の「正常化と活動家跋扈」/モスクワへのテロと「権威主義の一番弱い輪」を狙うイスラム過激派(03/23 10:06)


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3月23日(土)雪

夜が明けるのは早くなってきたのだが、寒さはまだ続いている。6時過ぎに出て隣町にガソリンを入れに行き、朝のパンを買って職場に携帯を忘れたので取りに行き、帰ってきて少しごちゃごちゃしていたら外をいたら雪が降っていて、またびっくり。隣町からの帰りに少し降ってはいたのだが、家に近づくに連れてやんだので大丈夫かと思っていたのだが、結局は雪景色に。今年の3月はどうなっているのだろうか。今の気温はマイナス1度。

昨日は午前中母を病院に連れて行き、その後銀行関係の仕事やついでの新しい漫画も買ってきたりして疲れた。「アオのハコ」を少しずつ読んでいて、連載の時にはあまり感じなかったことが鮮やかに入って来るようになって、明らかにこちらの側が変化していることがわかる。わからないまま単行本は買っていたのだが、買っていてよかったなあと思う。こういうケースは割と珍しい。

今週は日月と東京、水に松本、木金と母の病院と忙しい日が続いたのでだいぶ疲れが溜まっている感じ。その間に会計関係のこととか資金繰り関係のことなどいろいろやりながら、なんとか毎日ブログは更新したという感じではある。

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今年から日本銀行券、つまり紙幣が新しくなり、印刷される肖像画の人物も全く一新されるされるわけだが、もっと国民に人気のある坂本龍馬などを取り上げろという意見があったので、少し私見を書いてみたい。

もともと貨幣というもの、紙幣というものは国家権力によってその流通が強制されているものだから、そこに印刷されるものもその権威の象徴が描かれるわけで、古くから権力者の肖像画が金貨などに刻印されてきた。特に王国ではその王の肖像が印刷されるわけで、イギリスでは長い間エリザベス2世女王の肖像画が印刷されてきていて、だからこそセックスピストルズの「God save the Queen」のジャケットのようにそれを冒?することで反権威を強調するという手段も取られたわけである。

アメリカでもワシントンやフランクリン、リンカーンなどが紙幣に印刷されるのは「建国の父」であること、あるいは「国家の分裂を阻止した英雄」であることが理由であって、人気があるからではない。共和制国家では国王の肖像は印刷できないから、その他の国家を象徴する人物が選ばれただけのことである。

日本の場合は明治初期にはその権威を表すために天皇の肖像画が考えられたわけだが、それは却下された。みだりに天皇の肖像などは外に出すべきものではないからである。これはイスラム教でアッラーやムハンマドの肖像が描かれないこととは理由が違う。イスラムでは偶像崇拝を禁止しているためにそれが許されないのであって、日本では「恐れ多い」からできないのである。

そこで天皇のお顔を「龍顔」と呼ぶことから、切手などにも龍の絵が採用されたわけである。その後は、天皇ではないけれども天皇に近い人、それを象徴する人物ということで神功皇后や武内宿禰などが選ばれ、我々にも記憶のある聖徳太子が選ばれたわけである。

実際聖徳太子は実質的な日本国家建設の功労者ともいえ、また天皇自身ではなく、文化英雄でもあり、日本国と日本文化、日本文明の象徴としてこれ以上の人はいないと思う。

一方で臣下の日本国家建設の功労者もまた紙幣のデザインに採用され、財政再建の立役者である高橋是清や帝国議会発足の功労者板垣退助、維新の英雄の一人岩倉具視、初代総理大臣伊藤博文などがお札になったことは記憶に新しい。

昭和の後半になるとこうした政治家がお札デザインになることに批判が集まり、文化人が採用されることになったが、これもまた日本が文化国家として自らを主張していくことの象徴でもあったと言えるだろう。一万円の福沢諭吉が明治啓蒙思想・近代国家建設の象徴、五千円の新渡戸稲造が国際平和主義の象徴、千円の夏目漱石が文学・文化の象徴という意味で、これらはバランスの取れたデザインだったと思う。

その後二千円札に守礼門と紫式部を配置して沖縄という特殊な地域を象徴するとともに女性と国風文化も採用し、5千円札で樋口一葉という女性の文学者、千円で野口英世という医学者=科学者を取り上げるなど多方面に目を配った人物採用を行なってきた。

それに比べると今回の人物は傾向が変わってきていて、一万円札が澁澤栄一と日本資本主義の象徴のような人物が描かれたのは今まで日本の繁栄を支えてきた実業界の人物が採用されなかったことに対するバランスのようにも思われるし、五千円札の津田梅子も女子教育の象徴の意味だろうからフェミニズムへの配慮があるように思われる。千円の北里柴三郎はオーソドックスな人選だと思うが、野口英世から医学者が二人続くと科学からの人選のバランスはどうかという感じはする。湯川秀樹などもありではないかと思うが、戦後を象徴する人物の採用はまだ早いという判断だったのだろうか。


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