6.日本の保守思想の大枠について、見取り図を書いてみる(03/21 07:46)


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五つ目は倫理志向である。禅宗などの影響による人間性の確立(これは自助とも繋がるが)を目指す志向であり、清潔志向もまたこれに含まれると思うが、形として意識されやすいのは「武士道」だろう。これも新渡戸稲造の紹介によって広まったということもあり、近代的な意識だと揶揄されることもあるのだが、日本人の多くにとっては江戸時代以来の日本的精神の中心として意識されているのではないか。

これは現代のWBCやアメリカプロ野球における大谷翔平の活躍や、チームの愛称として使われる「侍ジャパン」という名前に如実に現れている。「サムライ」というのは日本人の精神性・倫理性を表す言葉として世界に向けて使い得るものであると我々は意識しているわけである。

そして、これはどちらに属するとも言い難いが、現代日本人の「安定志向」というものがある。いわゆる「生活保守主義」である。均質性の高い社会において治安の良い社会で気持ち良く生活できることへの日本人のこだわりはとても大きいだろう。それは「統治の安定」を望む思考や「経済的繁栄」を望む志向として反映され、「保守=自民党政権」を支える大きな力になっている。

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こうしてみると、日本の保守を見取り図的に、ないし座標軸的に描こうとすれば、上下(y軸)に「近代性ー古層・伝統性の軸」をとり、左右(x軸)に「現実性ー倫理性」の軸を取るとより見やすいかもしれない。

こうした保守の見取り図をもとに、さらにそれぞれの性格について深掘り(探究)していくことによって、より保守思想の意味のようなものが見えてくるように思う。続編を待たれたい。



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