2.バイデンの「移民を受け入れない日本」批判について、移民のメリットとデメリット、そもそも「移り住む」ことの意味などについて考えてみる(05/03 09:39)


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5月3日(金・憲法記念日)晴れ

いろいろ考えることがあって考えているとブログを書く時間がなくなってしまうのだけど、一つだけ書いておこうと思う。

https://www.asahi.com/articles/ASS5235W2S52BQBQ0G2M.html

バイデン米大統領が「日本はロシアや中国と同じように、移民を受け入れないから困難を抱えているのだ」と発言したことが波紋を呼んでいる。

この発言自体は彼がトランプの反移民政策に対抗するための発言でそんなに深くはないと思う。ただこの発言にはいくつかの日本にとってはスルーできない要素があるので、波紋を呼んでいるわけである。

一つには彼が日本をロシアと中国と同列にしたことであり、同盟国である日本を潜在敵国であるこれらの国々と同列に並べるとは何事か、という感情的な反発があるわけだ。

バイデンは日本が過去、中国と戦って勝ち、ロシアと戦って勝ったことを知っているのか、そしてそれらのことをどう評価しているのかが気になるところである。中国とロシアは大国であり、日本の西方から北方を押さえているわけで、こうした地政学的な、つまりは宿命的な対立構造を持っているということに無頓着だということが感じられる。もちろん東の太平洋を押さえているアメリカもまた日本にとってはそうした地政学的脅威であるわけだが、現在のところは(敗戦と冷戦の結果)アメリカとは同盟関係にあるのでたまたま東方は開けているというだけのことである。(それを考えると、北東をロシア、北から西を中国、東から南を日本に押さえられている韓国が一番「弱い輪」と感じられる日本にいつも吠えているのは気持ちとしてはわからなくはない)

1世紀前の二つの戦争では新興のアジア人帝国主義国である日本が老大国であった中国や辺境の白人帝国主義国であったロシアを破るという構造だったが、今では共産主義・権威主義の両国は自由主義国である日本とは体制的にも相容れないものがある。

また、中国やロシアは数百年に亘り周囲を侵略し国内に多くの少数民族を抱えているのに加え、膨大な人工を持っているわけだからもともと移民など必要ない、むしろ自国から移民を出したい国であることもまたバイデン発言のピントがずれていることがわかる。

日本の場合は少子高齢化による生産年齢人口減が現実のものとなっているので、ある意味では「移民を受け入れるべき」という主張は一理ある、というかその側面から産業界などは強く労働力としての外国人人口を増やしたいという要望があるわけである。

アメリカが移民によって成立し栄えた国であるのはその国の歴史としてはその通りなので、移民人口が増えることで生産活動が盛んになり、彼ら自身も豊かになれればいウィンウィンである、と単純に考える人たちもまたいるだろうと思う。

しかし、現在移民によって問題を抱えている国は、ヨーロッパもそうだけれども、つまりは「国民に対する高福祉」が実現している国々であって、経済的には人口増は景気を押し上げる圧力として働く一方、住民一人当たりにかかる社会保障コスト、いわば「人権のためのコスト」もまた安くはないわけである。

特に日本においては生産年齢一人当たりにかかる引退した人々や福祉の対象になる人々の人権を保障するためのコストが急上昇する傾向があり、移民受け入れに伴うそうしたコストの上昇もまたバカにならないわけである。現代の人々は維新の急成長にあるように、そうしたコスト上昇を受け入れることに強い難色を示しているわけで、この辺りは国民一人当たりの医療や福祉などの公的扶助が多いとは言えないアメリカとは同列に語れないわけだ。

バイデン発言がそこまで意図しているかどうかはともかく、下手をすれば移民を増やせという裏にそうした社会保障の切り下げとアメリカ保険企業の進出の野心がある可能性もあるから、こうした言葉を軽々しく受け入れることは問題があるだろうと思う。

また、もう一つには外国人増による文化摩擦の拡大という問題もある。一度受け入れてしまったら、彼らが自分たちの流儀で生活したり経済活動を行ったり文化的主張を行ったりすることを止めることはできない。この辺りはすでにさまざまなところで問題が指摘されているから特には書かないが、多くの人が気にしているのはこの問題ではないかと思う。

だからこの問題に関しては、メリットとデメリットを総合的に勘案することと、一度門戸を開いたら閉めることは難しいということをまた、考えに入れなければいけないと思う。

実際のところ、アメリカでも十分実現しているとは言えないリベラルな主張を日本で行おうとしている帰化人であるとか、宗教的な感覚の違いを日本に押し付けようとしている人であるとか、やはりそのまま受け入れるわけにはいかない主張を持っている人がTwitterを見ていると多いように思う。


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