10.新型コロナウィルスがもたらしたもの(2):医療ナショナリズムに敗れたトランプ派と日本の進むべき道(01/13 10:12)


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新型コロナによってネオリベラリズム・グローバリズムは大きく傷ついた。特にグローバル化の尖兵である航空会社は軒並み経営難に陥っている。一方ではワクチン開発の製薬企業、また今回の騒動でも存在感の巨大さを示したBigTechなど、グローバル企業の強さを示した局面もあった。しかし、グローバルな製薬会社も結局はワクチンの配給は自国優先になるわけだし、BigTechの今回のトランプ派封鎖はグローバル企業としての行動ではなく、アメリカナショナリズムへの貢献として行われていることから、今回のパンデミックはやはりネオリベラリズム・グローバリズムの抑止として、その進展に対する歯止めとしての役割が大きかったとみるべきだと思う。

しかし例によって時代遅れになるのが日本であり、政権も財界も経済を回せと躍起になって叫んでいる。本当に経済を回したいのなら所得の低い層への直接給付や低所得層の負担が大きい逆進性の強い消費税の廃止はもちろんのこと、累進課税を強化し、収益を上げている法人への課税を強化し、労働分配率の低い企業に課税を強化するなど、国民に金を回す政策を行うべきだろうが、全くそうした動きはない。また、ここにきて明らかになった医療体制の不備、またワクチン開発など先端技術への資金供給や目配りのなさはこのような状況では実に致命的であるということがよくわかる。

実際のところ「財政健全化=小さな政府政策」というのはグローバリズムが、世界貿易の規制のないことが頼みであったのが、今回の電力需要の逼迫などもLNGの供給不足という貿易の不全が原因で起こっているわけで、危機の状態にある「日本を守る」ということと逆の方向でしかないことは明らかだ。

今後医療(つまり科学)と経済のバランスがどのようなところで落ち着くのかはまだわからないが、今回の危機を踏まえて問題点を洗い直し、「平時にも危機にも強い日本」をいかにして築いていくのか、さらに検討していかなければならないと思う。



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