1.デフレとインフレと中国/「生活」に目が開いたこと/「国家を超えた超権力」を求める日本人の幻想/イランとイスラエルと国際正義(04/16 11:15)


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より差し迫った感じがするのがイランとイスラエルの報復合戦なのだが、周囲の国々は「戦いを抑止する」「被害を最小限にする」という方向に動いていて、イランもアメリカもこれ以上ことを荒立てたくない感じがするけれども、戦争を続けなければ自分の権力が維持できないネタニヤフはなるべくイランに打撃を加えたいという意思を持っているようで、その辺りのところをどう評価するかで政治関係も経済関係も(特に株式市場など)見方が分かれているのだと思うが、そんなに急激ではなくても値下がり傾向が強いのはやはり悲観論・慎重論が一定以上あるということだろうと思う。

そうした直接の戦争の危険だけでなく、イランに対してはソ連や中国が間接的な支持を表明し、イスラエルにはアメリカやイギリス、ドイツなどが支持をしているわけだが、西側の動きも「国際法にかなった反撃」に努めるウクライナはともかく、国際法を無視してガザでの虐殺を繰り広げるイスラエルに対してこれらの諸国が支持することは、白けた空気が広がっても仕方ない感じはする。

プーチンとネタニヤフが国際法を踏み躙って自国の主張を通そうとするのは戦後世界で曲がりなりにも運用されてきた国際法の権威の凋落を招いているわけで、これはおそらくはパンドラの箱であって中小諸国がよりそのハードルが超えやすくなって、国際法というものも「だいたい守っている国」だけに課せられたルールみたいになっていくことはあまり良いことではないだろうと思う。

イランとイスラエルの敵対関係の緊迫は国際平和への大きな脅威であることに違いはないのだが、どちらが勝っても良いことはない争いであるなとは思う。また、いわゆるグローバルサウスの国々がどのような支持を表明するかも気になるところだ。

現在でもイェメンのフーシ派が紅海の船舶を攻撃することで海上輸送が滞りがちになって世界経済に影響を与えているけれども、イランが戦争状態に入ればペルシャ湾岸をはじめとして原油の調達に著しい危機を招くことは明らかだから、ネタニヤフと戦争熱に浮かされたイランとイスラエルの一部の人々を除けばそんな事態は誰も望んでいないだろうと思う。

ウクライナで正義が蹂躙されていることはもちろん問題なのだが、パレスチナでもやはりそうであるわけで、今イスラエルに支持を表明している国々の中でアメリカは明確にオスロ合意に基づく解決を少なくとも表面上は求めているけれども、ドイツやイギリスがどこまでそれを考えているのかなど、「正義の実現」に誰がどれだけ熱心なのかという疑問もある。

岸田首相の米議会での演説はこういう世界情勢の変化にアメリカだけに任せるのではなく日本も役割を果たす、という意思の表明であったわけだが、一番日本にとっては手を出しにくい中東情勢が最初に悪化したのは皮肉なものだとは思う。

日本としては、できることは限られているにしろ、人道と平和の観点からできることをしていくしかないだろうと思う。経過を見守り、より良い解決がなされることを望みたい。


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