1.「全体主義中国と対峙することと西側民主主義の再認識」:エマニュエル=トッド・インタビューを読んで(2)(01/25 07:44)


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一方では中国を明確な敵と意識し、台湾を支援し、日本や同盟国との関係を重視して中国の封じ込めを図るトランプ政権の流れを踏襲するという見方。それは同時に国内の経済的建て直しを重視し、またトランプ支持者たちをも一定程度取り込むために彼らに配慮する政策を採用するという方向性があり得る。少なくともバイデンのいうUnity、国民の再統合のためにはこの方向性しかないと思うが、ここにはイデオロギー的な問題も絡んでくるので、民主党内の左派勢力やグローバルエリート勢力の反発をどう押さえていくかという問題もあるだろう。

もう一方では中国を戦略的な共存相手と見做し、中国に配慮した政策をとる可能性があり得る。それは中国に配慮するというよりは、グローバル化をさらに進めようとするグローバルエリートの圧力、また国内トランプ支持者ら下層白人を嫌う左派・ポリコレ派の強い主張をバイデンが抑えきれない場合、ないしその勢力に乗っかっていこうという場合だが、これは潜在的にはまだまだ巨大なトランプ支持層を完全に敵に回すということになるので、「国民再統合」というバイデンの主張は画餅に帰し、さらに分断が進むという選択を取ることになる。

だから現実的に考えるとバイデンは国家の分断を抑えるために中国を敵視する政策を取らざるを得ないと思うのだが、そうならない可能性も一定は配慮しなければならないとは思う。

だから、この辺りは結局は「エリートが大衆の意見を聞くことができるかどうか」という昨日書いた問題に帰結するわけなのだけど、しばらくはお手並み拝見ということになるのだろうと思う。

とりあえず今日の更新はこんなところで。また以後の点については続けて考察していきたいと思う。




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