5029.東條英機の孫(07/03 22:51)


サンデープロジェクトのサイトを見ていたら、東條英機元首相の孫の東條由布子氏が出演するということで久しぶりにサンプロを見た。東條氏は東條の遺品をいくつかスタジオに持ってこられていて、東條の遺髪と写真、処刑前最後に吸った煙草、東條内閣成立日に家族(お手伝いさんや警備員なども含めて)で撮った写真、巣鴨で手作りで作った煙草を吸うためのパイプや孫にプレゼントするために作った箱など、貴重なものをいくつか見せてくださった。私は東條氏の著書『祖父東條英機−一切語るなかれ』は読んでいたのだが、実際に画面で見るのは初めてだったが、とても落ち着いた上品な老婦人だった。それらのものを見ているとある意味非常に神々しく、自然に頭が下がり、自然に手が合わせられるものに感じた。

東條の戦争指導が拙かったことに異論はないが、しかし大日本帝国が敗れたことの罪を一身に背負って死んでいった男の誇りというものが孫にまでこれほど強く生きているということに、厳粛なものを感じざるを得なかったのである。東條氏は東條の戦争指導のためにしんでいった多くの人に気を使いながらも、戦争終結前からすでに始まっていた東條家に対する迫害や、敗戦後教室のみなの目の前で「東條君のおじいさんは泥棒や人殺しよりもっとひどいことをした人です」と先生に言われた弟のこと、小学校に行っても先生が誰も受け持ちを持つことを嫌がり、クラスに配属されずに校庭から教室の中をのぞくしかなかった日々を三ヶ月も送った兄の話などを穏やかに話していた。

田原総一朗は東條氏を尊重しながらも戦争認識に対してただし、東條も東條氏も多くの日本人を死に追いやった罪が彼にあったことを認めていることを確認した上で、ならば東條を擁護するような言い方をするべきではないのではないか、というわなにかけるような発言をしていたが、東條自身の認識と、祖父の名誉を守りたいと考える東條氏の思い・立場というものを意識的に混同して罠に嵌めるような下司な発言であった。

東條という人間が小心で誠実な人間であったことは多くの研究者が認めるところであって、そのあたり毛沢東やスターリン、ヒトラーといった「怪物」とは全く違う。彼は間違った部分はもちろんあっただろうが、「悪魔」ではない。彼もまた日本を守るために死んでいった一人の戦士であったのだと改めて思う。

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