4906.日本の国際政治におけるリーダーシップ(08/10 10:53)


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このように考えてみると、世界におけるリーダーシップの問題について考えざるを得ない。ロシアがリーダーシップを取った世界共産化は20世紀に大混乱をもたらした。イギリスがリーダーシップを取った近代化と植民地主義は利便性は向上させたが環境破壊や貧富の格差の拡大などの大きな問題をもたらした。現在アメリカがとっているリーダーシップはあまりに非寛容でイスラム諸勢力の強い反発を招いている。かといって、イスラムのリーダーシップで世界が動いていくとはやはり考えられないだろう。

そうした全体像を描いた中で、19世紀から20世紀前半にかけて日本がアジアにおいてとっていたリーダーシップをどのように評価すべきか、もう一度考え直してみる必要がある。もちろんうまく行った点ばかりでなかったからこそ最終的には失敗に終わったわけだが、現在でも東南アジアや台湾などを中心に日本待望論があることを考えると、ロシアやイギリスやアメリカ、あるいは現在中国が展開しようとしているリーダーシップに比較しても、日本のリーダーシップの長所はあるはずだし、それを分析して自覚することは現在の日本にとって最低限必要なことであると思う。

世界を権力闘争の場所とのみ見てしまえばリーダーシップの良し悪しというような観点はなくなってしまうが、世界史のある時点においてある国家、ある国民が主導的な役割を果たすということは世界史を公平に見れば当然あることである。日本の果たした役割は大部分は東アジアに限定されたものではあったが、たとえば日露戦争の勝利の衝撃は世界的なものであったわけだし、そうした観点からも見なおしてみなければならないと思う。

軍事的な覇権はそうしたリーダーシップの重要な要素ではあるが、軍事力のみで世界をリードすることができないのは、古くはアッシリア帝国の崩壊から現在の中共の世界戦略やアメリカの中東政策の蹉跌の状況まで枚挙に暇がない。軍事力プラスアルファの、そのアルファの部分の性質が重要なのだと思う。

日本はそういう意味で世界史の進化に貢献すべき国であると思うし、またその力を持った国であると私は信じている。


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