4902.高校野球決勝戦/『福田和也の「文章教室」』/アメリカ型リベラル……?(08/21 09:20)


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それよりそうかなるほどなあ、と思ったのは、「新興宗教の信者」というものに対するステロタイプな感覚だった。私には友人にも親戚にも何人もいわゆる新興宗教の信者がいるし、彼らの信仰も自分が入信したいとは思わないが、ある程度の魅力を感じるものもある。自分は特定の信仰を持ってはいないが、先の村上春樹のところでも書いたように、「何か超越的なもの」に対する感覚はかなり強くある。だからそれを経由すればある程度はアメリカのエヴァンジェリストも理解できる気がするし、イスラムやユダヤについても全然わからないというわけでもない。

金日成や金正日に対する個人崇拝というのは私も理解を超えているというか、ちょっと勘弁して欲しいとは思う。またいわゆる「カルト」の信者、つまり洗脳の結果生き方のバランスを失しているような人々は共感というより痛々しさを感じるし、早く現実世界に戻って欲しいと心から願わずにはいられない。

アメリカ型リベラルというのがどういうことなのかよくわからないけれど、たとえばデモクラットの人たちと似た考え方、ということだろうか。私がアメリカに行ったとき、20代から50代くらいのデモクラットの人たちが集まって四方山話をしていたとき、「そういえばあいつ誰だっけな」とかいう話を始めて、何の話かと思ったら「海を二つに分けたヤツ」とか要するに聖書にでてくる人たちの話を始め、「あり得ねー」とか「笑える」というような話をしていたのだった。私の英語力では理解し切れなかったのであとで確認したのだけど、ああこの人たちの信仰に対する感覚というのはこんなものなんだなと思ったことがある。

無神論、というところまで話しが徹底すると、それは欧米的な理解ではナチスとかコミュニズムということになってしまうが、アメリカンリベラルというとそれに限りなく近い(特にエリート層は)という感覚がある。立花隆『宇宙からの帰還』にも宇宙飛行士の中に、「自分は無神論者なのだがインタビューでそういうとまずいからどう言ったらいいか」というアドバイスを求める話が出てきて、「僕の家族はバプテストの教会に行っている」とか、「昔は日曜学校に行ったけど、最近はあまり教会には行ってないなあ」と答えれば良いという話が出てきていた。

<画像>宇宙からの帰還

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