4615.「愚行というやさしい妖精」が踊る/小説に対する近親憎悪(05/27 17:31)


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p.168、「……ナスターシャたち、ムイシキンたち、私は彼らのような人間をどれだけ回りに見ていることだろう!彼らは全員未知への旅の始まりにいる。疑いもなく、彼らは彷徨している。だが、それは特異な彷徨だ。彼らは自らが彷徨しているとも知らずに彷徨しているのだから。というのも、彼らの未経験は二重だからである。彼らは世間を知らず、自分自身を知らないのだ。」

これはまあ、全くその通りだ。自分の10代後半から30くらいまでは全くその通りだったと思う。自分の周りにいる人たちも多くはそうだったし。

しかしまあ、こうして書いてみると、どうも「当たり前」とか「分かりきった」ことに見えてくるから不思議だ。私自身の認識の仕方が、実は昔から結構「小説」的だったということなのかもしれない。で、私が小説が苦手だったのは、そういういやらしい認識のさせ方をこれでもか、これでもかと見せられるところにあったのかなあという気もしてくる。つまり、一種の近親憎悪だったのかもしれないと。

まあそこまで言い切ることは出来ないが、でもいろいろな意味で認識が深まった気はしなくはない。こういう方向の読書体験は重要なものだなあと思う。


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