保坂によると、風景描写によって文体というものが生まれる、というのだが、それはなるほどと思う。視覚的な一望的な印象を文字という順番に読む方法で叙述するのは基本的に力技であり、そこには作家の力量やテクニック、文章上の癖や特徴、好みなどが如実に現れるということだろう。描写によって生まれる文体こそがその小説全体を支配するというのは確かにそうだと思う。スタンダールやバルザックが読んでいて辛いのは会話ではなくその描写についていくのが大変だからであり、プーシキンを読んでいて私が感動したのはただ読んでいるだけでロシアの冬の茫漠とした真っ白で広大な大地が眼前に浮かび上がってきたからだ。ロシアが文学の国になったのは、その祖といっていいプーシキンが描写力において溢れるような才能の持ち主であったということが大きいのだなあと思う。
いろいろものを考える。文や詩における美の問題、文学の時代性、文学の世界性。それだけのことを考えられたら、いくらでも考えることはある。
今日は昨日と打って変わってどんよりとした曇り空。気圧も相当低そうで、こういうときには私は血圧的な影響を受けるのでちょっと体調がもうひとつ。これから帰郷して仕事して、明日からは連休。
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