4600.名文の条件/『王様の仕立て屋』(05/10 11:09)


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そのように見ていくと、やはり志賀直哉の文章はいろいろな意味でやはり凄い。まだまだ見落としているところがあるだろうと思うけれども、何を考えて文章を書いているのかが分ってくると、読んでいて面白いなと思う。しかしスカスカの文章を読む気がしなくなるという弊害はあるかもしれないが。「秋風」「山鳩」「目白と鵯と蝙蝠」「妙な夢」「朝の試写会」「自転車」「朝顔」まで読了。

午後から夜は仕事。あまり忙しくなく。朝起きて、セブンイレブンに『スーパージャンプ』を買いに行く。「王様の仕立て屋」の続きが前号が出たときからずっと気になっていたのだ。この感じは『小学四年生』とかを読んでいたころ以来の気がする。主人公が豪い難問を抱え込んでしまって、いったいどうなるんだろうと思っていたのだが、うーんそういうふうに展開させるかと、ストーリーテラーとしての大河原遁の才能に改めて感心させられる出来であった。これが伏線だろうと思っていたところは大体想像したように使っていたが、落ちのつけ方も言われてみればこうなるのは想像不可能でもなかったなとも思う。しかしいい意味で読者の予想を裏切ることはそんなに簡単なことではない。私の読んでいる範囲では今一番才能がきらめいている漫画家だと思う。ピエール・カルダンのコンケーブ・ショルダーという技法が今回の「技」として披露されていて、薀蓄漫画の王道を外さず作品自体の雰囲気を壊さずかといって相当な冒険も敢えてした上でそれをうまく乗り越えたなと感動した。「愛しのロクサーヌ」という題がついていることに注目していればもっと想像出来たかもしれないな、と思ったり。いやまあこうやっていろいろ考えることは楽しい。

※あとで考えたことだが、このオチはちょっとイシグロ『日の名残り』に似ている。あそこまで深刻ではないが…

今日は薄曇だが、暖かい。庭の芍薬が咲き始めた。紫木蓮、花海棠、紫式部?は盛りを過ぎた。下り坂の四つ角の家の藤が盛りだ。高島城の藤も見頃になっているかもしれない。


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