4532.昭和天皇の発言メモ(07/22 10:01)


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本文10000字という制限を越えてしまったので(笑)再度投稿。

昭和天皇の靖国神社へのA級合祀への反感吐露について、参拝反対派が鬼の首を取ったように騒いでいるのはなんだか滑稽だ。彼らのやっていることはまさに「天皇の政治利用」だし、普段天皇について否定的なことを言っているのにこういうときは天皇の威光に縋ろうというのだから全く一貫性に欠けている。山崎、加藤あたりの自民党の反対派もこれで決まりと思っているかもしれないが、反対派の反応は全体的にアナクロの感は否めない。この記事にあるように谷垣蔵相は学問的な検証をといっている(極東ブログも同じスタンス)し、麻生外相にいたっては「個人のメモにコメントする立場にない」と気って捨てる姿勢。これはウケた。

昭和天皇がこうおっしゃってるぞ、ウリウリ、という参拝反対派の主張は、参拝賛成派=天皇主義者=昭和天皇の威光に逆らえない、と極めてキリスト教原理主義者並にシンプルな頭の構造から出てきたものなのだなと改めて思う。ただ勝谷誠彦氏のように結構ナイーブな反応をする人もあり、まあそういう人もいるから彼らもそういうことをするんだなとちょっと意外の念に打たれる面もあった。

昨日も書いたが、昭和天皇の発言自体は、単に予想通りだ。ある時期から靖国神社に親拝されなくなったのだからその理由は誰にでも想像がつく。

ただ今回の報道内容を見て改めて思ったのは、昭和天皇が相当な度合いで「親英米」であったということだ。言葉を替えて言えば反独である。特に三国同盟締結に動いた松岡洋右と白鳥敏夫について非難していることからもそれは明らかだろう。彼らのやった三国同盟の締結が決定的に誤った国策であったことにはわたしは全く同感である。陸軍内の反英米感情がよく知りもしないナチスへの好意に転換し、(われわれ日本人が人種差別主義であるナチスの差別対象であることくらいなぜわからなかったのか)破滅的な戦争に追いやる最大の原因になったと私も思っている。

昭和天皇の親英米姿勢、正確には親英姿勢だろうが、はわが国の現在の保守派の動向にも強い影響を与えたと思うが、もともとは皇太子時代の原内閣当時の英国訪問に起源があると思われる。それ以来、昭和天皇は英国的な立憲君主として振舞うことを良しとされていたようである。そのあたり、実は謹厳実直に職務に精励され、元勲たちの調停役を積極的に買って出ていた明治天皇ともかなり違うし、フランクで気さくなご性格であったと原武史『大正天皇』(朝日選書、2000)に描写されている大正天皇とも全然違う。ご自身で長時間の神事を自ら行われている今上天皇(現在の天皇陛下、念のため)とも異なり、昭和天皇は神事には余り熱心であられなかったと伝えられている。わたしにとっての昭和天皇の印象というのは「闘う家長」(もちろん国家という家だが)という印象だったが、相撲がお好きであられたとかテレビドラマをよく見ておられたとかそういう報道がフレンドリーな印象を伝えようとしていた印象がある。

<画像>大正天皇

朝日新聞社

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