4521.「人間は群居する性質を持っている」/『自民党改造プロジェクト650日』(07/31 09:53)


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やることが一杯ありつつも考えなければならないこともたくさんあり、さてどんなふうに作戦を立てていくのか考えたり考えなかったり。このところ目が覚めるのが早いので朝は散歩に出かけるようにしているが、昨日の朝は短く、今朝は少し長い距離を歩いた。6時前に目が覚めると朝からいろいろできて充実する。

夕方一息入れた後、丸の内に出かけ丸善で本を物色し、さらに丸の内のブティック外を歩いて有楽町から銀座に抜け、有楽町の三省堂・西銀座の旭屋と物色したあとで教文館に行って世耕弘成『自民党改造プロジェクト650日』(新潮社、2006)とチャンドラー『大いなる眠り』(創元推理文庫、1959)を買う。世耕氏は自民党代議士だが広報担当でネットの一部では「自民党のゲッペルス」と書かれていた人。祖父は戦後の隠匿物資摘発に辣腕を振るい「世耕機関」として恐れられた世耕弘一だ。小泉内閣の広報戦略の成功は昨年の総選挙によって証明済みだが、その実態がどのようなものだったのかという興味から買ってみた。チャドラーは、最近政治・歴史・思想系のものを読んでいるとこころの中の潤いというかイメージの広がり的なものが枯渇してくる感じなので買ってみたのだが、まだほとんど読んでいない。

<画像>大いなる眠り

東京創元社

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夏休みの日曜日の晴れた銀座は最近見たことがないくらいの人出で賑わっていた。東京は人が多いなあとあたりまえの感想を持つ。渋谷とかより、家族連れで来られるだけ人出が多いのかもしれないなと思う。表通りも裏通りも人が溢れていてすげえなあと思う。こういう日はよく行く喫茶店も込んでいるに決まっているので早々に帰宅。

読みかけだった『一票の反対』を読了。第一次世界大戦の参戦に下院で反対したジャネット・ランキンが、ベトナム反戦運動にも参加しているのに驚く。90歳前後になってもその活動が衰えなかったというのは驚きだ。第二次世界大戦中からガンジーの活動に関心を持って戦後たびたびインドを訪れたがガンジーが暗殺されたため会うことは出来なかったらしい。ネルーとは何度か会っている。このあたり古典的な「平和活動家」というものだなあと思う。

ランキンはジョージアのコッテージで一人暮らしのとき、ヒッピーのような青年と同居しているが、彼女もほとんどヒッピーのように暮らしていたもののドロップアウトは絶対に許さなかったという話がなるほどと思う。青年はジョージア大学の大学院生だったというが、ランキンは死ぬときにも学資を残していて必ず卒業するようにといったという。そういう時代を超えた頑固さのようなものが妙に心を打つ。

ランキンは生涯独身だったが実は「淋しがり屋」だったといい、人間は群居する性質を持っているものだ、としみじみと語ったという。そういえばマルグリット・デュラスも死ぬ前には青年と同居していたし、テレサ・テンもかなり年下の男性と同棲していた。彼女らにはそういう存在が必要だったのだろうと思う。彼女らは彼らの才能を伸ばすことにかなり精力を傾けているが、その中でものになった(まあ何が基準かによるが)男性はあまり聞いたことがない。そういう例があるのかどうか、なんとなく興味は引かれるのだが。

この本は実際ジャーナリストの作品だなと思う。学者のような深め方も、作家のような精神の解明もないが、回りから見たジャネットがどんな人間だったのか、とてもよくわかるように描いている。いろいろなアプローチがあるものだなと思うが、ジャーナリスティックな視点のいいところが実によく表現されている作品だと思った。

<画像>一票の反対―ジャネット・ランキンの生涯

文藝春秋

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