3673.ブログと文章(09/04 20:49)


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物を書くことを生活のリズムの中に組み込むことは自分できちんとペースをコントロールすることであり、物を書くモードをうまく作り出してそれに自分を乗せることが必要だ。ブログを書くと言うことはブログを何のために書くかということが問題であって、今まではとにかくそのものを書くペースを作るために書いていたのだけど、そういう無目的的なものになるととかく惰性になりやすい。人間には習慣力というものがあって、何かをはじめるとそれを習慣にすることはそんなに大変なことではなく(ものによるが)、それをやめること変えることの方が往々にして難しいものだ。何かをはじめるときにとりあえず何かをはじめなければならないという危機感ではじめてしまった場合、とりあえずはじめることに成功したその次の目標を見失うことが往々にしてある。毎日とにかく何かを書く中で何かを見つけていくためには、とりあえず何かを書くというだけではどうにもならないものがある。

そんなとき、とりあえず何かをはじめなくては、という焦りはとりあえず何かを変えなくては、という焦りに変わるだけで前に向かって動いていかない。ブログを書き始める前、私はウェブ日記を書いていて、その前は詩を書いていた。ウェブ日記からブログへの移行はいちいちhtmlを打たなくても更新できるブログの簡便さにひかれたからだが、今となってはウェブ日記の時代の定型のなさが失われたということにかなりの喪失感も感じている。何を書いても一つの定型の中におさまってしまうブログという形式は、自由度があるようでかなり低い。その自由をどういうふうにして取り戻すか、ということがよけいな仕事として出来てしまった感じがする。簡便さの罠というものは確実にある。

ウェブ日記を書き始めたのは、ウェブ上で詩を書いていてなかなかアクセスが伸びず、それなのに膨大なアクセスを稼いでいる一部のサイトがあって、それが「日記猿人」に参加しているところが多かった、ということがあった。最初は、詩のサイトへのアクセスを伸ばすために日記を書き始めたのだが、日記のアクセスを伸ばすこと自体の方が面白くなってしまい、その頃には詩の発想が枯渇するようになっていた。そうした日記の書き方をしていたことと詩的な発想の枯渇が関係あるのかどうかはよく分らないのだが、多分ないことはないのだろう。

ウェブ日記でアクセスがあがるようなことを書いていると、今度は自分が書きたいことを書いていないという不満がだんだん募ってくる。メールのやり取りをしたりしているうちに「ウェブ上での自分の人格」、のようなものが知らず知らずのうちに出来上がってくる。そうすると書いている自分にとってはそれが重くなってくる。ある意味当り障りのないことを書いていると、それがまるで自分の人格のような仮面(ペルソナ)になってきてしまうからだ。本当に自分が書きたいこと、自分の志の求めるものを書けばいいのだが、(志とは、つまりは自分のやりたいこと、なのだ。あるいは自分のやりたいこと、とは何かを問われれば、それは自分の志とは何か、と問われていると考えればいいのだ)それがはっきりしていないとあるペルソナと別のペルソナのあいだを右往左往することになる。ウェブ上の多重人格者がそこに出現する。

私も一時はいくつもサイトを作って、それぞれ別の人格で対処する、ということを試みたこともある。しかし実際のところそれは続かない。そういうことが続く器用な人もいるようだけど、私にとって本当の問題は浮遊するペルソナにあわせて展開を試みることではなく、自分の志を明確化することのほうにあったからだ。

志を明確化すること、は自分の求めるものは何か、ということと強い関係がある。しかしその頃、私は自分の求めるものを見失っていた。自分の中で解決のつかない問題がいくつかあったことと、自分の本音を言うこととそのときの自分の人間関係を維持することが両立できないということがあったからだ。

その本音は、自分の本当の志と関係はあるけれどもそれそのものではない。しかしその本音を吐けない、あるいは吐きにくい、また吐いたら明らかに多くの知己が離れていく、というときに、それでも本音を言うか知己を維持するかということは難しい問題だったが、結局自分にとって大事な方を取った。つまり本音を吐く、首相の靖国参拝を主張し、日本的な価値観を大事にすることを主張する方を取ったのだ。案の定多くの知己は、リアルもネットも含めて去って行ったしあるいは疎遠になった。私は多くのものを失ったという実感を持ったけれども、せいせいしたという快感もあった。しかし実際孤独になったし、そうした方面で本当に理解しあえる知己にはなかなか出会えなかった。そういうこと以外のことで話が合うという人はごくわずかしかいなかったからだ。


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