3668.河合隼雄、谷川俊太郎、中沢新一、そして宮崎駿(08/06 15:21)


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毎週火曜日に帰郷している。普通は12時の特急に乗るのだけど、夏休みは時間の都合で一つ前の電車に乗っている。ちょうどバカンスに出かけるのにちょうどいい時間になってしまうようで、最近はいつも混雑している。普通なら隣の席が空いているのだけど、昨日は窓際は既に満席になっていて、通路側の席に座った。窓側の客が甲府で降りたので、その後はいつものとおりになった。

<画像>魂にメスはいらない―ユング心理学講義 (講談社プラスアルファ文庫)
河合 隼雄,谷川 俊太郎
講談社

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河合隼雄・谷川俊太郎『魂にメスはいらない』読了。簡単に読み流していい感じではないのだが、読んで一日もするとしっかりとした把握がもう薄れてきている。そのとき書き込みをした文章などをちょっと取り上げてみる。

「そういうストラクチュアを持とうというのは、日本人には非常に珍しいんです。日本人は区切りで勝負するんじゃなくて、流れで勝負することが多いですから。」

区切りで勝負する西洋人と流れで勝負する日本人。確かにかの国の人々の文章は区切りが強調されすぎていて辟易することはある。日本人の文章は流れで意味がわかるのだが重要なところに線を引こうとすると全部引かなければならなくなったりする。

ユングの性格論には内向・外向の区分のほかに、心理機能を分けている。感情と思考の対立、直観と感覚の対立という二つの軸があるのだそうだ。赤い服を着た人を見て、「にあってるなあ」という感情と、「なぜ赤いのを着ているんだろう」という思考は両立しにくいというわけだ。また感覚型の人はものそのものを見、直観型の人はその背後にあるものを見る、のだという。もちろんどの心理機能も一人の人間の中にあるけれども、メインファンクションかそうでないかという違いがあるのだそうだ。思考と直観、感情と感覚というものは連関性がある気がするが、それについては触れられていない。

心理分析をしていくと価値観が弱まっていく、無秩序にすべてを受け入れてしまう危険性がある、という話。これは私には凄くわかる感じで、そうならないように危険信号がものすごく早く出て、その結果周りがしらけるということがよくあるということになっている。難しい話。河合はわりと簡単に言っているが、逆に言えばそれだけ自我が強固なんだろうなあと思う。

谷川の詩を河合が解釈するという中に、『夕景』という詩があった。

ふたたび西の空に幾重にも雲は吹き寄せ
かくくり返すものにくり返し支えられつつ
なおも私たちは明日へと駆り立てられる
古びた旋律はうろ憶えに歌うたび甦えり
死者への愛惜は薄れゆく残光に深まる
この世につけ加えるべき何ものがあるだろう

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