3561.ことばを使った方法論/威嚇する目と気さくな微笑み(12/29 08:36)


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どうにも体調が悪くて困っていた。午前中は昼の買い物に出ただけであまりいろいろなことが手に付かなかった。午後インド帰りの友人から電話があって長電話して、夕方になってから銀座に出かけた。調子は悪かったが午前中よりはかなりましになっていた。

銀座は年の瀬で人の出は多いように感じたが、店の混雑は思ったほどではなく、不況なのかなと思ったり。教文館で本を物色し、ブックファーストに行ってちらちら見る。引力を感じるほうにいってみようと体調のよくないときによくある勘頼みの行動。目に飛び込んできたのは矢尾こと葉『レイキで心と体を浄化する本』(永岡書店、2008)だった。

<画像>レイキで心と体を浄化する本
矢尾 こと葉
永岡書店

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日記猿人時代から日記を読んでいる方が今レイキのヒーラーをやっていることは知っていたので、レイキというものに興味はあったのだけど、やや近づきがたい面もあり、今まで本を読んでみようという気になってはいなかったのだが、何だか目が合ってしまったというか引力のようなものを感じたので買ってみた。最初にマンガがあってそれがよく感じが出ていてどういうものなのかのあらましがわかる。といっても、私は野口整体にずっと通っているから、そういうことに関する感じ方はそういうものに全く関心のない人とは全然違うだろうと思う。しかし、著者はヨガや気功の知識もあるらしく、そちらの方面からの説明もあっていろいろと頷けるところも多かった。また、友人で宗教の信者の人からよく話を聞くのだが、その人の話の中からその宗教での自己(考え方とか感情とか)の持って行き方のある種の技術のようなものと共通するところも強く感じ、なるほどどちらも実際なかなか合理的な方法論なんだなと納得する。

最近ではポジティブシンキングの方法論などが出てきているので、昔に比べるとこういう表現に対する抵抗感は薄れているのかなあと思う面もあるが、何も知らない人はすごく壁を感じるだろうなあと思う面もある。しかしマンガというのはなかなかうまい手で、抵抗感はかなり薄らぐかもしれない。そういえばオウム真理教もマンガを使って教義を説いていたりしたが、あれは見るからに怪しくてマンガの意味があまりなかった。幸福の科学もアニメを全国ロードショーで公開していたなあ。実家の近くの映画館でそれをやっていたが、客がいる感じはしなかった。もうしばらく前に閉館し、今は駐車場になっているが。

いや、こういう言葉による自己の方向付けというのは合理的だとは思うのだけど、言葉というのは人間そのものを成り立たせている重要なものなので、その人の言葉の全体系が免疫的に拒否するということは十分ありえることだ。それを無理に導入しようとすると、その人の精神がやややられる可能性もある。受け入れても最初は「かぶれた」感じになり、それまでの友人が変なものを感じて遠ざかっていったり、いろいろ副作用は大きいに違いない。ことばというものは効果が大きいだけにそうしたマイナスの作用も時に巨大になり、時にその人自身やその人の人間関係を破壊することになるから、よっぽど気をつけなければならない。

そうやって人を孤立させ、取り込んでいくのがいわゆるカルトの方法論だ。しかし、たとえば今まで普通の進歩的左翼だった人が、あるとき右翼・保守傾向の思想に目覚めた、というときにも大体同じことが起こる。それまで話があっていた人と話しが合わなくなり、話をするのも面倒になってくる。改宗者の情熱で、最初は特に相手の言うことを否定したがるからなおさらだ。


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