3516.古田織部/数寄と好みとおたく(02/07 13:11)


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井戸茶碗のカイラギの良さ、なんてものは微妙なテイストにうるさいオタクの会話に近いものがあろう。しかしどこに違いがあるかといえば数寄者の覚悟の深さがおたくには欠けているということ(違う方向の覚悟があるのかもしれないが)で、やはり人間的な魅力のあるなしはそこにかかっているのだろうと思う。覚悟の深さと人間的な深みとは深い関係があるのだと思う。今のところ、オタクの思想というものも「セカイ系」などにみられるように人間個人の生き方とはかけ離れたレベルに雲散霧消し、むしろオカルト的な志向を持ってしまっているように思う。そういう意味では日本文化の遺伝子は正しくは受け継がれていないということなんだろうと思う。山上宗二が茶の湯の名人の条件として「覚悟、作分、手柄」と言ったというが、作分の面では日本のおたく文化は相当花開いているにしても、あるいは世界にも影響し得ているという点で手柄もあるかもしれないけれども、「覚悟」の点においてはやや違うのではないか。そこが混沌としているからこそおたくがおたくなのかも知れないが。


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