3512.謡曲の面白さ(02/11 12:21)


昨日帰郷。午後から夜にかけて仕事。まずまずの忙しさ。今朝は少し冷え込んだが、11時を過ぎてだいぶ暖かくなってきた。でも座り仕事が長かったせいか、手と足がまだ冷えている。

6時過ぎに家を出てファミマでスーパージャンプとビックコミックを買い、職場で用事を済ませて帰宅。父に愉気、朝食。そのあとスーパージャンプとビックコミックを飛ばし読み。印象に残ったのはスーパージャンプでは「きららの仕事」「王様の仕立て屋」「トクボウ」「おしとね天繕」「銀のアンカー」「死神監察官雷堂」。ビックコミックでは「太陽の黙示録」「黄金のラフ」「華中華」。どちらもかなり充実している。特に「王様の仕立て屋」は新展開で先が楽しみ。「ブランド」をテーマにした話というのは面白そうだ。

そのあとお世話になった人に礼状を書く。考えてみればかなり長い間した仕事をお世話してくれた方。手紙もつい長くなった。

<画像>風姿花伝 (日本の古典をよむ)

小学館

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『風姿花伝・謡曲名作選』読了。「井筒」「隅田川」「船弁慶」、どれも面白い。「井筒」は女性の霊が業平の装束を着て現われ、その姿を井戸に映して「われながらなつかしや」というところがふしぎなエロチシズムがある。いとしい男の服を着て鏡を見、男と自分が一体となった姿を髣髴として恍惚とする。このシーンは「とんぼの本」の能の入門本か何かで読んだときにはなんだかよくわからなかったが、謡曲を読んでみるとそのふしぎな官能性が立ち昇ってくるのがよくわかった。今まで謡曲だけ読むということにあまり興味はなかったのだが、実はずいぶん面白い。もちろん現代語訳があってこそ楽しめるというレベルではあるのだけど。

「隅田川」は都から下ってきた狂女が我が子の死を知り、そこで念仏を唱えていると幻に我が子が現れるという話で、能の台本という謡の性格を越えた普遍性がそこに現前しており、謡を読んでいるということを忘れさせるものがあった。それにしても親しいものを恋い慕って道を行く女性というのは中世では狂女になるのか。「小栗判官」でも餓鬼阿弥(小栗)の車を引く照手姫は狂女を装っていた。男を寄せ付けないという現実的な意味もわかるが何か呪的な意味もあるのだろう。

「船弁慶」。これはむしろ歌舞伎の「義経千本桜」大物浦の場が思い浮かぶ。歌舞伎には前半の静御前とのやり取りはないが、後半の知盛の霊の出現は、前半の引き離される静の恨みを引きずっているという気持ちがこの作劇には感じられるので、歌舞伎よりも作劇上の緊張感は高いように思った。しかし話の中で船頭が弁慶に義経・頼朝の仲直りの後には自分を西国の海上の総元締めにしてくれと申し出るくだりがあったりして、幽玄な趣のことばかりという印象のある謡曲にこういう生臭い話も出てくるのだなと感心させられた。
いやあ、大変面白い経験をさせていただいた。

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