24.春の雪/日本にとっての第二次世界大戦をなんと呼ぶか:大東亜戦争・太平洋戦争・その他/「小学館漫画賞」:芦原妃名子さんの事件と漫画や創作への愛と情熱(03/06 07:26)


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今回の授賞式に一番大きな影を投げ掛けたのは、もちろん芦原妃名子さんと「セクシー田中さん」をめぐる事件だっただろう。小学館も日本テレビもなかなか動かなかったものの少なくとも形式上は再発防止に取り組む姿勢をようやく見せたところだし、その余波で小学館のマンガ原作の日本テレビの4月開始予定の実写ドラマが制作中止になったりなったりもして、どこまで本気の改革が行われるかはこれからというところである。芦原さんはこの小学館漫画賞を過去2回受賞しているのだそうで、その意味でもこの式典は追悼の意味が大きく込められたものになったと言えるのだろう。

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>式のはじめに、小学館の代表取締役社長・相賀信宏氏が挨拶。1月末に芦原妃名子が死去したこと、芦原が過去に2度小学館漫画賞を受賞したことに触れながら「小学館は今回の事態を重く受け止めており、なぜこのようなことになったのか、どこかの段階で止められなかったのか。二度とこうした悲劇を繰り返さないために現在調査を進めており、再発防止に努めてまいります」と誓う。また「これからも小学館は作家、著作権者の皆様に寄り添い、その権利を守っていく所存です」と続けた。

そういうこともあってか、受賞者や審査員の発言は漫画への強い思い、創作への愛が強く表現されたものになったのだろうと思う。

ブルボン小林氏の「数字であそぼ」の選評の一部としての発言で、

>また「マンガファン代表としてここで選考していますが、私の本業は小説家で、小説家の知り合いがたくさんいます。仕事柄、マンガ家の知り合いもたくさんいるんですが、小説家よりマンガ家のほうが間違いなく孤独です。マンガはヒットすることが大事で、それがやりがいになると思うんですけど、小説の世界は『評』や『賞』がとても充実していて、売れ行きや愛読者の生の声とは違う“評”がある世界です」とコメント。「小学館漫画賞はすごく大事な賞だと思います。売れ行きとも、読者の生の声とも違う、評価の言葉がすごく大事。これからも小学館漫画賞は充実していってほしいし、マンガ好きとしてマンガ家の皆さんにもがんばってほしい。マンガが好きだから、選考委員を頼まれるうちは(自身も)全力でやっていきたい」と心境を口にした。

というのは本当にそうだなと思った。「ブルボン小林」とは芥川賞作家の長嶋有氏の別名だそうだが、小説は先細りの世界ということもあり、漫画に比べれば作家数と賞の割合がかなり大きくなるだろうと思う。ラノベまで含めると小説も裾野が広いとは思うけれども、いずれにしても「売れ行き」だけでなく「評」が大事であることに変わりはないだろう。小学館漫画賞のような「賞」は個人には無理だけれども、「評」は作家にとっても大きな力になるなと改めて思った。

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島本和彦さんのいう「葬送のフリーレン」のセリフの深さの読み解きもなるほどと思ったし、稲垣理一郎さんが「トリリオンゲーム」と「Dr.Stone」を比較した上で「サンクチュアリ」と「ドラえもん」に代表される「悪い子」「良い子」の影にある「『good』の中に『evil』がある、『evil』の中に『good』がある」という構造の問題に触れたのもなるほどなあと思った。

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「二月の勝者」の高瀬志帆さんが「逃げ上手の若君」の大ファンで「北畠顕家」を待ち受けにしているほどだ、というのはへえっと思ったのだが、

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>今の世の中って、がんばって生きてても逃げる場所なんてどこにもないと思ってしまうかもしれない。でもこの主人公の『逃げることでパワーを出す』というのは、自分の得意分野はちゃんと伸ばせば伸びるんだと。勝手な私の解釈なんですけど、私にはそういうメッセージがビンビンと伝わってきて、たまらない

というのはあまり考えたことがなかったけれども、「二月の勝者」で中学受験塾の子供たち一人一人に、また講師たちの生き方についても「こういう道もあるんじゃないか」という励ましを感じさせる高瀬さんらしい読み解きだなと思った。

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