ということもあったので、小学館という会社について改めて考えたり調べてみようと思った。
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小学館というのは、最初に知ったのは学年誌の「ようちえん」だったと思う。(感じだったかもしれない)机に座って本を読んでいる小学館のマークは、その頃から見慣れていて、初めて会社名を覚えた会社だったように思う。
「小学館」という名前もあり、子ども(小学生)のみかた、という印象があった。われわれの世代では小学館の学年誌と学研の「学習と科学」を買うのが割と一般的だった。手塚治虫の「不思議なメルモ(最初は「ママアちゃん」という題だった)」や藤子不二雄「ドラえもん」なども最初に読んだのは「小学三年生」あたりではなかったかと思う。「ドラえもん」は学年によって掲載内容が変えられたりしていて、かなり手が入っているなと思ったし、「発売日が待ち遠しい」という感情を最初に持ったのも学年誌だったと思う。
そんな感じで、こちらとしては勝手に親近感を持っていたのだけど、今回の経緯はそれを裏切るものだったなと思う。
「小学館の体質」を指摘する漫画家さんたちも多かったので、小学館という会社について少し調べてみた。周知のように、小学館は「一ツ橋グループ」と呼ばれる出版コングロマリットのトップの会社である。グループ内にはそれ自体が巨大な「集英社」があり、講談社をトップとする音羽グループやKADOKAWAをトップとするKADOKAWAグループと並び立っていて、傘下の主な会社としては他に白泉社や祥伝社がある。
この小学館は初代社長の相賀武夫(1897-1938)に始まり、現在4代目の相賀信宏氏(1983-)が継承している同族会社である。同じ出版社では講談社も初代の野間清治(1878-1938、「面白くてためになる」というキャッチフレーズで知られる)に始まり現在は7代目の野間省伸氏(1969-)が継承している同族会社だし、KADOKAWAも初代の角川源義(1917-75)に始まり2代目の角川春樹氏(1942-)、3代目の角川暦彦氏(1943-)など個性的な経営者を輩出し、現在はオリンピック疑獄もあって社長を退いているが、基本的には同族的性格が強い会社だと言えると思う。
だから同族会社だからといって即良くないということではないとは思うが、やはり古い体質みたいなものはあるのではないかということは思った。今回の判断は最終的には当然ながらそうした中枢部の判断だと考えるべきだろう。まあそんなことは出版関係者なら結構「誰でも知ってる」ような話ではないかと思うし、「あの会社ならそういうことをやりかねない」と思われているというのも、やはりあまり良くないことだろうと思う。
作家や読者が納得できる対応をしていたら「会社の体質」まで問題にされるようなことはなかったと思うのだけど、こうしたことが出てくると痛くない腹を探られる部分も出てくるだろう。今からでも遅くはないので、現代の常識に沿った良識的な判断をしてもらいたいと思う。
すでに「自分の死後に自分の小説作品の実写ドラマ化は全て拒否する」と宣言する作家さんも出ており、日本のコンテンツ産業全体にかなり大きな悪影響を与える可能性も出てきている。
「作家に寄り添う」という姿勢を示すなら、今回の芦原さんのことに関して、経緯を明らかにすることから始めるべきではないかと思う。
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※東スポに掲載された小学館のオンライン説明会の記事があまり読まれていないということなので、追加しておきます。こちらの方がより具体的に内容が伝えられています。東スポは最近、良い記事が多いですね。