その中でも、現実を考えるための補助線として誰かいい著作者や本があるといいなと思っていたのだが、昨日読んだエマニュエル・トッドのインタビューが面白く、そのついでにWikipediaでちょっと調べてみたらやってること、考え方もかなり面白く私としては興味が引かれることが多かったので、ちょっとその辺について調べてみたり考えてみたりしようと思った。
昨日読んだインタビューはこちら。
他にもインタビューがなされているようだけど、これはどうも彼の新著が日本で出版されたことと関係あるようだ。
エマニュエル・トッド
筑摩書房
2020-12-23
こちらの方も順番に読んでみようとは思う。ただこれは考え方や思考の方法論的なもののようなので、先に読むべきものであるかどうかはわからない。代表的な著作は他にいくつもあるようだから、その辺を先に読んだ方がいいのだろうと思う。まず作戦を練らなくてはと思う。
もう一つのインタビューはNewsPicksに課金登録しないと読めないので、今のところ読んでいない。
ただコメントを読むと、先のインタビューでトッドの意見で唯一同意できなかった移民問題についての議論があるようなので、読んでみようかなとも思っている。
彼の専門は簡単に言えば「歴史人口学」ということだろうか。フランスには「国立人口学研究所」なるものまであるようで、この分野が発達しているということなのだろう。簡単に言えば、歴史の定量的研究ということだろうか。日本では速水融さんや鬼頭宏さんなどがいて、歴史学というよりは経済学の方に入るようだが、トッドはアナル派の歴史家・エマニュエル・ル・ロワ・ラデュリの勧めでケンブリッジに留学してそこでは家族制度を研究していて、どちらかというと日本でいうところの歴史社会学的な要素が強いように見受けられる。
まだはっきり理解しているわけではないけど、歴史人口学で彼がやっていることというのは、家族のあり方・人口・出生率・識字率などをパラメーターにして各国の社会の過去の動向を検討し、それを用いて将来を予測する、という風に捉えてみた。
このインタビューでは日経の記者がインタビュアーなのだが、記者自身が守るべき規範として持っているのが「民主主義」と「グローバリズム」であるという前提が強く、そういうバイアスを持った人に応えている内容だ、ということは考えに入れておかなければならないなと思う。
今日はまずこの「民主主義」の問題について検討してみたい。
まず記者はトランプ派のアメリカ連邦議会侵入事件を受けて現代を「民主主義の危機」と捉えているようで、「機能不全に陥っているように見える民主主義を働かせるにはどうしたらいいか」という問いから入っている。
それに対しトッドは「教育による社会の分断がある」こと、「宗教や国家など共同で全ての人が信じるものがなくなってしまったこと」、のふたつを挙げている。
だから分断を解消するためには、上層の人たちが下層の人たちを尊重する形で経済政策や社会政策を作ること、つまり国家を単位としてその中で和解していかなければならない、上層の人たちは下層の人たちの上層の人たちが特権階級化しようとしているという疑念を、また上層の人たちは自分たちのポジションを教育程度によって正当化することをやめなければならない、といっている。
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