17.大衆が支える日本文化の独自性を守っていくという意味での「保守」/識者と人格/家制度の中で生かされてきた人たち/特急が遅れたり時間通りになったり(01/24 09:57)


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大衆文化や社会政策にとってもマンガの重要性は大きくなり、「いらすとや」などが行政分野を席巻したり、町おこしや啓発ポスターにいわゆる「萌え絵」が使われるケースも多くなってきて、それが偏狭なフェミニストと衝突を起こすようになってきたりもしている。それは逆に言えば、マンガの影響力が日本においては文化的にも社会的にもとても大きいという意味でもある。

文化というものは、欧米では一般に金持ちが支えるものであり、つまりはエリートのものであるわけだが、日本においてはそういう金持ちやエリートの層が薄かったりあるいはそういうことに不熱心な人が多いということもあるのか、アートを含めマンガなどの文化を支えるのは大衆の力が大きい、というか大衆自体が文化好き、ということが大きいと思う。

これは何も今に始まった事ではなく、江戸時代から識字率は高かったし、庶民の間で朝顔の品種改良が流行したりして、当然ながらそういうのは欧米では王侯貴族の趣味なので欧米の外交官が仰天したとか、あるいは浮世絵や読本などの流行もまた日本文化の大衆性の強さみたいなものを表しているように思う。そういうものに対する凝り性みたいなところは明治以降も形を変えて受け継がれたように思う。

欧米でも最近は情勢が変わりつつあり、人文系の学部に対する風当たりは強くなっているそうで、むしろ新興国の方が文化に対する需要が高まっているのだという。確かにバレエダンサーやピアニストなども中国出身者が著しく増えているし、そういうことは言えるなと思う。

逆に言えば、明治大正期の日本や20世紀のアメリカでアートや芸術に熱心だったのは、その時期の日本やアメリカが成り上がりの新興国であったということなのだとも言える。

今やアートの中心はパリやロンドンよりもニューヨークだという話もあり、状況は変わってきているが、スポーツを含めて産油国や中国などがそれらに熱心になってきているのはそういう事情もあるだろう。

日本の「おたく」と呼ばれることの多い大衆文化についてはまだまだ正当に評価されていないところが大きいなと改めて思ったのだが、日本において実際の女性の境遇などより「萌え絵」の問題がクローズアップされがちなのは、日本においてそういう文化が突出して強いということでもあるなと思う。だからフェミニストにとっては格好の標的になってしまっているのだろう。

逆に現在起こっているコラボ問題のような事象も、とても日本における独自性が強いと思う。この問題を主導している暇空茜さんの経歴などを読んでいると、このかたは恐らくは学校制度に非適応型のギフテッドであるように思う。マンガやアニメやゲームが好きでゲーム開発で成功を収め、強い意志でトラブルを乗り切ってきた高い能力を持った方がこうした問題に切り込んでいくというのは本当に日本ならではだなと思う。

日本ではこうしたコンテンツは内需も莫大だが輸出産業にもなっているのでそうした流通や各国における法的問題をフォローできるような体制の確保が必要だと思うが、クールジャパンのような補助事業が失敗したのは結局ある種の暇空さんがいうところの「公金チューチューシステム」に取り込まれてしまうということではないかと思う。それを考えると、NPOや広告会社などに委託するより特殊法人などのシステムを使った方がまだ健康なのではないかという気はする。こういうところは何にしても資金管理の問題が起こりがちなので、その辺のところはしっかりやってもらいたいのだが。

町おこしなどについても歴史ロマン?を求めてやってくる程度の軽重はあるにしても歴史おたくの人たちが鍵になるわけだから広義のオタク文化がそうしたものを支えていることは間違いない。温泉むすめなどもまさにそのようなものだったと思うのだが、そうした文化と社会の「やわらかい腹」を突くことで利益を得ようとする社会団体があるのは残念なことだが、彼らもそうした社会に寄生しなければ運動も生活も維持できない人たちは多いわけで、ある種文化の爛熟の結果として仕方ない面もあるのかなという気はする。

ただ寄生虫があまり強いと宿主が死ぬという問題はあるから、なるべく追い払うことは必要だろうと思う。

保守という意味では、こういう日本の大衆文化の伝統を維持していくこともまた、左翼が表現の弾圧側に傾いた現代においては一つの重要な意義ではないかと思う。

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保守についてもう一つ書いておくと、例えばテレビなどに出てくる「識者」と言われる人たちのなんというか「サブカル化」が著しいという感じがする。自分の仕事、自分の専門分野にどれだけ誇りをもって取り組んでいるのか、と思う。


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