11.落合ー古市対談を読んで 反人間主義、アートと人と宗教、緊縮財政派の医療費問題観(01/03 13:23)


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しかし一番よくわからなかったのは日本の危機を脱出するためには歳出を減らさなければいけないという部分で、このあたりはやはり緊縮財政派の別動隊的な言説のようにどうしても感じてしまった。

最後の一か月の延命治療をやめれば医療費は爆下がりする、という主張も根拠がどの程度なのかはわからないし、先ず「金がかかるから治療はやめよう」という主張自体が非常に反人間主義、アンチヒューマニズムな主張である、少なくともそう見えるということにあまりに無頓着であるか、あるいは高齢者層に敵対的であるように感じられてしまう。安楽死や延命治療の問題を医療費削減の文脈で出すことはやはり筋が悪い、というか危険に無自覚でありすぎるわけで、個人の権利としての「尊厳死」の文脈であればともかく、まあこれもかなり語りつくされてしまっている感はあるが、「金がないから老人は死ね」みたいな文脈ではサンデルの「これから正義の話をしよう」の思考実験としてはともかく、正義の実現には資さないように思われるのだが。

なんというか古市さんは割を食っている「若者」の代表の文脈で、落合さんは「国際派」の文脈で語っているのは分かるのだけど、やはり日本での年を経た「生活者」の文脈で、日本の再生について語れる人が出てきてほしいなと思う。昭和平成を生き抜いてきた多くの読者もまた、やはり批判だけではなく新しい提案ができるように自らの思考を研ぎ澄ませていかなければならないとは思った。


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