宮崎アニメにおいては女性の自己実現というテーマが終始一貫して出ているが、その時に男の側はそれとともに自分も自己実現する「天空の城ラピュタ」や「もののけ姫」のパターンと、自分が助けられる側になる「千と千尋の神隠し」や傍観者になる「紅の豚」といったパターンがあって、「ポニョ」になるとポニョと宗介の両方の母親に守られる形での結末となり、母性が完全に優越した物語になっている、というわけだ。
もちろん良妻賢母型、内助の功型の強さという設定もできる。最近のストーリーではなかなかそういうものも見ないけれども。
ちょっとおしまいのほうは尻切れトンボ的になってしまったが、自分の創作というもの自体を考えさせられただけでなく、自分というものをどうとらえるかとか、男とか女とかいうものをどうとらえるかとか、先週の橋本治に続いてかなり根源的な問いを考えさせられる本だった。