33.杉本圭司「契りのストラディヴァリウス」/根本祐二『「豊かな地域」はどこが違うか』(04/12 19:39)


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【杉本圭司「契りのストラディヴァリウス」】

<画像>考える人 2013年 05月号 [雑誌]
新潮社

杉本圭司「契りのストラディヴァリウス」読了。下に書いた本と代わり交代に一気に読んで頭が疲れたのだが、でも本当に、当たり前と言えば当たり前なんだけど、小林秀雄を読みこんでるなあと驚かされた。音楽を通して見た、小林の芸術観と、小林にとってのヴァイオリンという楽器の特別な地位、近代性と官能、河上徹太郎との淡水の交わり。有名な中原中也との三角関係の問題の記述もまた、知らないことが少しあった。というか、小林の伝記などを読んでいても何となくぼかされているような部分をきちんと書いてくれているところがあり、そういうことだったのかと思ったところがあって、小林に対する理解は深まった観がある。

実際、小林の記述だけを読んでいては分からないことも多いわけで、私は白洲正子はかなり読んだけれども河上徹太郎はどうも読みにくく、あまり読んでないこともあるので小林を巡る人々の文章もきちんと読みこんで書かれているこの文章は、小林研究の一つの橋頭堡になりうるものではないかと思った。次回作品に期待したいというか、小さいものも大きいものも含めて、いろいろ小林について書かれた文章を読みたいなと思った。読んでいてわくわくさせられる評論だった。



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