29.ティム・ボウラー『川の少年』/『十五少年漂流記』と『進撃の巨人』/「少年」をこじらせ続けて数十年:『ランドリオール』『ぼくらのへんたい』『来世であいましょう』(06/12 15:42)


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<画像>来世であいましょう 2 (バーズコミックス)
小路啓之
幻冬舎コミックス

この三作に比べるとまた微妙にこじれた作品で、もう連載は終了してしまっているのが、『コミックバーズ』に連載されていた小路啓之『来世であいましょう』だ。主人公ナウと、ある目的を持って彼に近づいたものの本当に好きになってしまったかぴあ、それとやはり女装少年でナウのことをいじめているのだけど本当は好きだというツンデレ少年のキノ。こうして書いてみるとなんてひどいこじれ方だと思うが、まあ少年というのはこじれやすいものだし、だいたい私などはそういう意味でいえばもう何十年も少年をこじらせている気はする。少年こじれやすく、学成り難し。なのだが、それはともかく、このこじれた世界の中で結局愛が貫かれて行き、最後にはキノが殺してしまったナウの身体を剥製にして愛し続けると宣言したのに対して、かぴあはヒトカケラだってあなたには渡さない、と宣言する。実はものすごく壮大なカタストロフが訪れるのだが、少年のこじれだけでこれだけの世界が作れるのは本当にすごいと思った。

つらつら思いだして見ると好きな作品には好きになるだけの理由があるわけなのだけど、それは、世界には少年として出しか感じられないものが、確実にあるからなんだなとこれらの作品を読んでいると思う。

たぶんこんなことは、本当に少年をこじらせ続けている私にしか、書けないものなんじゃないかなという気がしてきた。

『少年』と『音楽』がもし私の一生のテーマであるとするならば、たぶんそれはそんなに悪い一生ではないんじゃないかなと思った。


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