25.銀座に出てみる/尾崎放哉 全句集:絵のように描くことと文化的伝統/ポール・マッカートニー:なぜ好きかはわからないが、聞くと幸せになる/ジェーン・バーキン:押しつけがましさがないのに、私はこうよと言っている(07/15 12:51)


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【ポール・マッカートニー:なぜ好きかはわからないが、聞くと幸せになる】

本を手にとって、レジに向かう。文化的伝統と言ってもいろいろある。それをどう取捨選択すればいいのだろう。それは、自分が本当に好きなもの、屈折なしで自然に好きなものを選択するべきなのではないか、と思う。

<画像>増補新版 ポール・マッカートニー (文藝別冊)
河出書房新社

ということを考えていて歩いたら、文藝の別冊で『増補新版 ポール・マッカートニー』(河出書房新社、2011)が目に入った。そうだ、と思う。先日考えた音楽と少年、というテーマの中でも、私が最も自然に好きだと言えたのが、ポール・マッカートニーだった、ということを突然思い出した。ポール・マッカートニーはミュージシャンだ。ジョン・レノンはミュージシャンであると同時に思想家でもあったし、デヴィッド・ボウイはミュージシャンであると同時にファッションリーダーでもあった。しかしポールは違う。ただひたすらにミュージシャンだ。政治的発言もしない、ファッションはまあ、正直言ってそんなにかっこいいわけでもない。というより多分、根本的に無頓着なんだろう。後年、ウィアーザワールドとか、政治的と言えなくもない発言をするようになってからは彼の音楽を聞かなくなってしまったし、まあファッション的にスタイルを確立したミュージシャンの方になんとなく心を魅かれて行くようにもなってしまったけど、彼はただひたすらに音楽を、ラブソングを、つくり続ける。

何で彼が好きなのかはわからない。でもそうなっているし、それを聞くと幸せになる。ポールはそんなミュージシャンだ。そんな人について考えるのも、自分にとってプラスになることだと思い、これも買うことにした。


【ジェーン・バーキン:押しつけがましさがないのに、私はこうよと言っている】

<画像>Love!Jane Birkin―perfect style of Jane (MARBLE BOOKS Love Fashionista)
マーブルトロン

さらに書棚を回ると、今度は『ジェーン・バーキン パーフェクトスタイルブックPart2』(マーブルトロン、2013)という本が目に入った。ジェーン・バーキンは私が最も好きな女優、というよりファッションリーダーだ。彼女のスタイルは、これをこうしたからこれがこうなって、だからかっこいいというのがいちいち腑に落ちる。なんというか、私の思うお洒落の鉄則を全くそのままに体現している感じの人なのだ。どこがどうと言葉で言うのは難しいが、簡単に言えばすべてのアイテムを支配していると言えばいいのか、意のままに操っていると言えばいいのか、それが適度に計算されていて適度に投げやりで、そのいい加減さがかっこいい。それは自分の顔立ちや体型、一緒にいるパートナーのセルジュ・ゲーンズブールや子供たちもまた、まったくナチュラルにジェーンと共存している。押しつけがましさが一切ないのに、私はこうよ、という主張がぼん、と投げ出されている。その嫌味のなさが、彼女の、そしてファッションのもっとも大きな魅力で、人間としてこうありたい、というものを彼女が表現しているように、私には思える。

彼女のファッションブックはもちろん持っているのだが、今回もなかなかいい編集で、セルジュやそれぞれ父親の違う彼女の三人の娘たち、ケイト、シャルロット、ルーもそれぞれ取り上げられていて、彼女たちもまた魅力的だ。

結局この三冊を買ったのだが、まあそれぞれが自分の創作と人生にまとまって意味を成すだろうと思った。まるで三題話だが、そのあと考えたことはまた稿を改めて。


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