<画像> | 新装版 まだ見ぬ書き手へ ( ) |
丸山健二 | |
出版共同流通 |
丸山健二『まだ見ぬ書き手へ』は基本的にスケールのでかい小説家希望者に対するアジテーションの本なのだが、この人自体の偏屈爺ぶりというのが凄くて読んでて盛り上がる。そういえば自分も芝居をやっていた頃はこんなふうに「自分が凄いことをやっている」という自覚を持っていたし、あるいは高校時代まで自分が属した集団でも似たような感覚を持ったことがあった。まあそれらは今では幻だったと思う部分が多いのだけど、でも嘘でもそういう感覚というか、少なくとも気概を持つことは創作者としては大事だと思う。ちまちました、世の中にあってもなくてもいいようなものを少しだけ加えるような変な謙虚さは作品をつくるときには無用なもののわけで、少なくとも私にとってはこのアジは有用だと思った。