18.素描1・新しい対/素描2・作品の力(10/05 23:59)


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【素描1・新しい対】

今日は書こうと思ったことがあったのだが、忙しくてしっかり考える余裕がなかった。伝統と近代とオルタナティブの混沌を整理する、ということなのだけど、人が生きることや自分のやっていることについて、考えるべきことはいくつかあると思った。

finalventさんの提起した問題はすごく自分でも考えないといけないと思うことがあって、一つはきのう書いた「日本の学問は合理的でない」ということなのだけど、もう一つは著書というよりツイッターでやり取りした時に出てきた「性的な成熟」ということの意味。これはつまり、「個として生きること」とともに、人間の生には「対として生きること」があるというテーゼなのだと私は解釈した。finalventさんの著書を読んでいるとそのあたりはなるほどと思うし、まあ世の中、助け助けられという対関係の話は当然ながらよく聞く。ここは自分に還元すると乏しい例しかないので何とも言えない。夫婦関係というと近代以前の伝統社会の出来事みたいな感じがする部分と、伝統社会の大家族制から抜け出した近代性の象徴みたいな感じのする部分(finalventさんの例はこのイメージ)があるが、それだけでなく新しい対をつくるということの中に新しい関係をつくる、つまり伝統も近代も乗り越えるオルタナティブを生み出す可能性は秘めているとも思う。

古い殻から抜け出して新しい家庭を築こうとして結局古い家庭の焼き直しでしかなかった絶望、みたいなことを繰り返し見てきた気がするが、しかしなんだかんだと言っている間に伝統的な家庭みたいなものはもはや郷愁の彼方みたいな感じになりつつある。ただ、それが新しい関係というよりはただ家庭というものが崩壊してしまっただけであるとか、お互いにしまりのないゆるい関係になっただけだというような解釈もあるし、確かにそういう例も多いような気がする。近代的個人がきちんと成立しているとは言えない日本において近代的な夫婦関係もまたきちんとは成り立ちにくいだろう。

しかし人間と人間の関係なのだから、創造的に生きようとする人間同士であれば創造的な対関係をつくることは不可能ではないのだろうとは思う。それがうまくいくかはまあなかなか何とも言えない部分もある。私自身は、伝統と近代とオルタナティブの混沌を整理する中で、何か見えてくるものがあるのではないかと思っているのだけれど。



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