17.苛立ちと創造:表現者タイプと賢人タイプ/「これじゃない!こうなんだ!」:「苛立ち」に対する自己否定感を克服すること/行動メモ(10/07 16:37)


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【苛立ちと創造:表現者タイプと賢人タイプ】

このところものを書くのが遅い時間になってしまっている。というのは、書こうとする内容がまとまるのに時間がかかりその日一日考えたことがようやく深夜になって文章になる、というパターンを繰り返しているからなのだが、そうなると日常でやらなければならないさまざまなことが全然こなせないまま時間がたって行ってしまうので、何とか早めに書きたい、できれば午前中に書きたいと思っているのだが、ツイッター上で様々な表現などはするものの、文章になるような形で自分の考えが進められないままどんどん時間が過ぎてしまう。

出来てくる文章は自分なりに熟成したものになっているのでそれはそれでいいかとも思うのだが、しかしそれだけで生きているわけでもないので他のことをする時間もほしい。とはいえ、そんな贅沢が言えるのもここに三日、自分の書きたいと思ったこと、考えを進めたいと思っていたことが書けているという実感があるからで、先ずそのこと自体に感謝したいと思う。

きのう書いた二つの課題のうち、作品の力というものと、苛立ちが創造につながる、という話について少し考えてみようと思う。

世の中には、ものを書いたりものを創造したり人に道を示したりカリスマになったりする人たちがいるけれども、そういう人たちの中には二つのタイプがあると思う。

一つは常に自分の中にいらだちを抱えていて、それを表現せずにはいられない人。それがうまく創造に結び付けられると、すごく大きな力を持った作品として結実する。それはその人の外見とかとは関係なく(関係ありそうに見える人もいるが)本質的に「これじゃないんだよ!」と常に叫んでいるような部分を内に抱えている人だ。たとえば、アーティストで言うと村上隆さんや奈良美智さんなどはそうだと思う。村上さんはツイッターで自分をdisるツイートを次々とRTしていて、読んでいる方が辛くなる部分があったりするし、奈良さんは普段は穏やかだが、自分の作品に対してとんでもないことを言われたと感じると激昂して大量のツイートを投下するときが時々ある。先日も奈良さんのファンはクリスチャン・ラッセンのファンと重なるというコメントに対して激昂し、もしそうだったらもう描くのをやめる、とまで宣言していたりする。

ゴッホなんかはまさにそうだし、ピカソなんかもそうだと思うし、マンガ家で言えば『進撃の巨人』の諌山創さんだとか、『ゴーマニズム宣言』の小林よしのりさんなんかがそうだと思うし、随筆家で言っても白洲正子なんかは(故人はとりあえず敬称略)そうだろうと思う。言いたいこと書きたいことと言えば聞こえはいいが、要するに苛立ちだ。町山智弘さんがネットラジオで「本人の怒りが表現されている作品はいい作品だ」と言っていて、「ロッキー」だとか『シティ・オブ・ゴッド』などの作品を上げている。(ああ、これ見ようと思ってたんだけど時間あるかな…)まさにそういう方向性で、とにかく自分の抱えている苛立ちというエネルギーを文章や作品にぶつけるタイプだ。宮崎駿監督などもそういうタイプだと思う。

もう一つはそうではなく、何というか賢人タイプ、ないし天才タイプとでもいうべきタイプで、世の中への違和感は表現者タイプと同じように持っているのだけど、早々に自分の城を築いてその中に安住し、そこからいろいろ世の中にポツリポツリとものを言っているうちに注目され、世の中に引っ張り出されてどんどん大きな存在になり、ものを作り出したりカリスマになったりしていく。

まあ書いてみて思ったがそれらとは別に若い頃から普通に成功し、普通に世の中に順応していくタイプもいるけれども、なんというのかそういういわば恵まれた人たちは、世の中の変化の動きが自分の動きなのか、自分の動きが世の中を変化させているのか、定かではないという感じの、つまりは普通にメジャーな人たちなのだが、そういう人たちの中身は図りきれないのだが、つまりは自分の創造力を経営資源として使いこなせているということなんだろう。その源泉が苛立ちであったり何かの天賦の才であったりは様々だろうけど、とりあえずは産業ベースに乗せることができる。こういう人たちはそういうメジャーな形での巨大な影響力を持ちえるので、逆に言えば世の中を根本的に変えるようなメッセージを送ることは場合によっては破壊的なダメージを与え得る。メジャーにはメジャーの、オルタナティブにはオルタナティブの持つべき役割があるのだが、とりあえずこの向きは置いておこう。


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