14.『かぐや姫の物語』は、一言で言えば、「どこまでも味わい尽くしたくなる映画」だった(12/02 12:02)


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【『かぐや姫の物語』は、一言で言えば、「どこまでも味わい尽くしたくなる映画」だった】

<画像>かぐや姫の物語 サウンドトラック【特典:音源ディスク付き】
徳間ジャパンコミュニケーションズ

高畑勲監督『かぐや姫の物語』を見た。見たときから一晩過ぎた今になるまで、この映画についてどう書いたらいいのかずっと迷っていたのだが、一言で言えばこういうことになると思う。「この映画は、味わい尽くしたくなる映画だ」と。

昨日は初めて行った川崎の(川崎駅で降りたのも多分初めてだと思う)東宝シネマズの12時5分からの回を見たのだが、時間ぎりぎりで、駅で降りてiPhoneで場所を見たのだけどよくわからず、結局川崎アゼリア(地下街)の(お年を召した)お姉さんに行き方を聞いて行ったのだった。着いたときにはもう予告編が始まっていて、切符を買って、トイレに行ってから館内に入ったので、本当にぎりぎりだった。席も一番奥の一番画面から見て右端近くだったが、却ってよく見えたのではないかと思う。

なるべく事前に情報を入れないで見ようと思っていたのだが、知っていた方が楽しめる情報もあるし、ここに書くのも何を書いてよくて何がまだ見てない人の邪魔になるかわからないので、あとで少し整理しようと思うが、もちろん何も知らなくても十分楽しめるので、そういう意味では見ていただいてから読んでいただいた方がいいのかもしれない。

私が事前に知っていたのは、ほとんど水彩画で書かれているということ、声優の声がプレスコアリング(プレスコ)という技法で撮られいるということ。日本のアニメは通常画面が出来てからそれに合わせて声を入れる、アフターレコーディング(アフレコ)という方法で撮られているのだが、この映画は逆に先に声優が声を録音して、それに合わせて絵を描くという方法を取っている。これは舞台俳優などにとってはやりやすい方法だと思うが、自分の演技が確立していない若い人にとっては映像という寄る辺がないのでかなり苦労したのではないかと思う。

ただそのおかげで、最も重要な、最も出てくる場面の多い役柄の一つ、(竹取の)翁を演じた地井武男が、昨年6月に亡くなっているにもかかわらずこの映画で元気な声を披露しているという不思議なことが起こった。最もこの世の地位や名誉や栄達に心を惹かれていた翁が、すでに「月の世界」に行ってしまっているというのは、本当に映画というものの不思議なところだと思う。

<画像>SWITCH Vol.31 No.12 ◆ スタジオジブリという物語
スイッチパブリッシング

それ以上のことはなるべく見ないようにしていて、先日買った『Switch』の特集も『かぐや姫の物語』の部分は読まないようにしていた。テレビで二階堂和美が「いのちの記憶」を歌ったりしているのも、なるべく聞かないようにしていた。

この映画がどういう映画であったか、というのを説明するのは難しい。つまり、こういう映画だったと説明しにくい映画なのだ、という言う意味で、味わい尽くしたくなる映画だ、というのが最もぴったりくる感じがする。


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