15.日本と中国を天秤にかけるアメリカ/アメリカはなぜイスラエルを支持するのか/「海が走るエンドロール」6巻を読んだ:残された時間が少ない中で評価に拘りつつ作品を作り続ける(03/15 07:02)


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イスラエル人の出身国は第一次アリヤー(大規模移住)がロシア中心、第二次アリヤーがロシア・ポーランド中心、第三次アリヤーがロシア中心、第四次アリヤーがポーランド、第五次アリヤーがドイツ、イスラエル建国後はヨーロッパとアラブ諸国から大規模移民、1984年にはエチオピアから、1989年から旧ソ連から。

アメリカ出身のイスラエル人はどれくらいいるのだろうか。「アメリカ系イスラエル人」でググっても全然出てこない。ウッディ・アレンの「アニー・ホール」では白人のユダヤ人に対する差別意識が描かれていたが、イスラエルに移住する気にはならないのだろうか。

以上のことでわかるように、イスラエルは西側諸国っぽい顔をしているけれども、民族構成で言えば東欧・中東系なのだよな。ネタニヤフも両親はロシア領ポーランド出身。ドイツ系との割合は分からないが、白人系ではロシア系が圧倒的に多いのではないか。非白人系はアラブ諸国出身がほとんどだろう。

ネタニヤフやイスラエル政府、あるいはイスラエル人の行動様式を考えるときに、西欧基準で考えるよりもむしろロシアとかポーランド、ハンガリーとかの東欧諸国の国家運営、民族色などを前提に考えた方が妥当性が上がるのではないかと思った。

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たらちねジョン「海が走るエンドロール」6巻読んだ。還暦を過ぎて映画監督になるために美大に通い始めたうみ子も6巻あたりまできてだいぶ日々のペースが掴めてきた感じはあり、そのあたりでの安定感というのはあるのだけれども、こうした営みにはやはりコンテストというものがつきものであり、このストーリーではPFF(ぴえフィルムフェスティバル)がそれになるわけだけど、うみ子が海を主演に撮った作品は入選せず落選し、うみ子が主役を演じた海が監督の映画がグランプリを獲得する。うみ子は落選に落ち込むけれども現役の監督と飲んだ機会に「時間がないから撮るしかない、映画は現実なんだ」と割り切ることができ、海のグランプリ受賞を素直に称賛することができた、という感じである。

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60過ぎた女性が映画監督に挑戦するという設定自体がもちろん現代的で、彼女の自意識の流れがこの作品で見るべきところの一つではあるのだけど、それだけではなく「映画作り」というものの持つ楽しさや大変さ、評価の残酷さと公平さ、それに紛れ込む様々な要素、みたいな話もある種業界物として、あるいはアートものとしての面白さもある。この作品はもともと「このマンガがすごい!2022」で1位になったことから読んでいるのだけど、スローテンポながらゆっくりゆっくりと「夢」に近づいていく感じが面白いなと思うし、当然ながらその夢の実現に向けて立ち塞がる現実や、夢自体が揺らいで見えたりすることもまた面白い。

また海やsoraたち映画制作を目指す若者たちとの関係もいろいろ面白く、若者に合わせて無理しすぎてしまって倒れたりとか、その辺の現実味もいいなと思う。

若者がもがきながら未来を見つけようとする「ブルーピリオド」もとても良いのだが、「残された時間が少ない」中で評価に拘りつつ作品を作り続けるというテーマもまた、私などの年代になると刺さるものはある。いずれも好きな作品です。

帯に「マガデミー賞2023 茅野うみ子 主演女優賞受賞」とあり、なんのことだと思って調べてみると、マガでミー賞というのは2021年度から始まった企画でマンガの登場人物を讃える企画なのだそうだ。

https://booklive.jp/magademy-award

今回は主演女優賞がこの作品のうみ子で、そのほか私の読んでいる作品では助演男優賞が「葬送のフリーレン」のヒンメル、作品賞が「スキップとローファー」になっている。

ついでに2022年度では主演男優賞が「BLUE GIANT」の宮本大、助演男優賞が「東京卍リベンジャーズ」の松野千冬、2021年度では助演男優賞が同じく「東卍」の佐野万次郎となっていて、見た感じでは女性が読みそうな作品の登場人物が主に取り上げられている印象があった。

まあ、いずれにしても自分が読んでいる作品の登場人物が取り上げられるということは嬉しいことなので、来年もまた見ていきたいと思った。


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