16.「冷戦」とはなんだったのか:資本主義イデオロギー国家であるアメリカと共産主義イデオロギー装置で荘厳されたパワーポリティクス国家ソ連との対立(03/14 06:26)


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3月14日(木)晴れ

今朝はマイナス3.7度。少し冷え込んでいるが、そんなには感じない。なんとなくの春っぽいものがあり、もちろんじっとしていれば寒いのだが、昨日の昼に気温は5度以下ながら雪がかなり融ける日差しがあったからだろう。暖かさとか寒さとか、気温だけでは測れないなあと思う。日差しの量とか、日が出ていた時間とか、風の強さとか、雪か雨かとか、日の長さとか。いろいろな面で寒さを感じても、確実に日足は長くなっていて、来週には春分。それが気持ちの上での暖かさにつながっているのだろうなあという気はする。

昨日は午前中にガスの点検の人が来て、点かなかったガスストーブを見てもらったがこれは電池が切れてるのが原因とわかり、電池を交換してもらったら点くようになった。台所の唯一の暖房なのでこれはありがたい。コンロや魚焼き機の方は交換しないとダメだということだったので、ほぼ一人暮らしの現在ではまあ必要ないかなと。東京の自宅にあるものはほぼ自分が買ったり修理したりしたものなので状況はわかるのだが、実家のものは両親が買ったものが多く、マニュアルなどを取っておかない人たちなので調べる時間がないと不便なまま放置することになりがちである。時々ちゃんと専門家に見てもらえるのはありがたいことだ。

そのほか昨日は会計作業をしてもらって、その間に郵便局と信金に行って残高証明を取ったり、お茶菓子を買ったり、お昼の買い物をしたり、クリーニングを取りに行って出したりした。法事の後の礼服・喪服があったから六千円くらいになった。まあこういう行事は付随的な支出が結構多いのだよなと思ったり。

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昨日書きかけていたもう一つの話、冷戦とはなんだったのかということについて。

一昨日読んだ冷戦期についての文章、これは元々は「冷戦」上下という大作に対する批評なのだが、これは自分に刺激になった。まだこの本は読んでいないので塩川さんの書評を通してしかこの本を見ていないから正当に判断できない部分が多いのはお断りしておく。

https://twitter.com/NobuakiShiokawa/status/1767176395825013129

http://www7b.biglobe.ne.jp/~shiokawa/notes2013-/AonoToshihiko.pdf

この書評で一番印象に残ったのは、

「著者は、「ソ連はしばしば地政学的 利益を確保するための行動をとったが、全世界の共産主義革命という究極目標は冷戦後期 まで決して放棄されなかった」という(上、9 頁)。この個所を読んで私は思わず天を仰ぎ、 一体何という突拍子もないことを言うのかと呆れざるを得なかった。」

というところなのだけど、これは西側諸国の一部が持っていた幻想のソ連観なのだと思う。つまり、この本の著者の方は冷戦期の対立の本質をイデオロギー対立だと考えていたということで、「ドミノ理論」でベトナム介入に走ったケネディ・ジョンソン両民主党政権と同じ考え方だということになる。また「悪の帝国」論を唱えてソ連に対する軍事的対抗を強化したレーガン政権もそう考えていたわけだ。

現実はどうかといえば、世界革命を唱えて各国に共産党の結成を促し、それに賛同して多くの共産党が生まれたのはレーニン時代(1917-24)が中心で、たとえば中国共産党の成立は1921年、日本共産党の成立は1922年である。スターリン時代が「一国社会主義」と呼ばれ、世界革命よりもソビエトロシアの防衛を最優先にしたことは冷戦期に高校教育を受けた私の世代なら誰でも知っていたことで、世界革命を唱えるトロツキーは亡命して最終的に暗殺されたわけである。

ただ形式上はコミンテルン(第3インターナショナル)という国際共産党組織は持っていたが、第二次世界大戦中に連合国との協調のために解散されている。冷戦の成立時には共産主義イデオロギーはすでに「世界革命理論」ではなく、第二次大戦の結果多くの衛星国を獲得した「大国ソビエトロシア」を飾り立て、またその防衛のためのシンパを世界に獲得するための装置、「イデオロギー的荘厳装置」にすぎなくなっていたというべきだと思うのだが、しかし当然ながら日本や中国をはじめとする共産党員やそのシンパたちにはその構造は見せられなかったわけだし、アメリカをはじめとする西側陣営もまたそれに惑わされていた面は大きかっただろう。

上に述べたようにソ連共産党は国際共産主義を西側を恫喝し植民地・新興独立諸国を取り込み世界中のシンパを熱狂させるための「イデオロギー装置」として十分に活用したと思うし、その幻影に踊らされてアメリカはベトナムに介入したと考えるべきではないかと思う。


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