17.カウンターカルチャーの零落した末裔たるサブカルとおたく職人の文化史の中で自分はどこにいるのか(03/13 08:28)


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そこで引用されていた下の文章を読んで、いろいろ考えさせられるところがあった。

https://note.com/mogura2001/n/ne50ba177c66c

ついでにこちらの「教育界や社会学者がどのように漫画を弾圧してきたのか」という文章も、後で読んでおきたいと思ったので備忘として載せておく。

https://note.com/maminyan/n/n2299b663c74f

サブカルとおたくの対立、ということについては以前から言われていた、というか文章は読んだことはあったけれども、具体的にどういうことなのかあまりよくわかっていなかった。

こちらの解説によるとサブカルチャーというのは元々はメインカルチャーのハイカルチャー、つまり現代で言えばクラシック音楽とかハイアート、読書界のようなインテリおよびオーソライズ・ソフィスティケートされた文化に対する対抗文化、つまりカウンターカルチャーであったもので、それがやや零落した姿がサブカルチャーである、という指摘である。つまりハイソサエティや「支配層」、「資本主義」といったこの社会の主流に対するアンチテーゼとして文化的革命を志したものがカウンターカルチャーである、ということで、思いつくものとしては反抗の音楽としてのロックであるとか今でも左派が流れ込みがちなマリファナカルチャーであるとかヒッピー的な自然志向、瞑想などの方向性がそれだったわけである。

ただ資本主義文化の進展の中でカウンターカルチャーは勢いを失い、文字通りサブ的なものになり、零落していった。しかしサブカルチャーには志向としての「個人より社会」のベクトルがあり、そういう意味で他者志向的であった、と分析されている。

一方でオタク文化は自分の好きなものにとことんこだわるという「社会よりも個人」の姿勢から出発し、その「志の低さ」をサブカル側からはバカにされていたのに、その職人気質的な方向性により大きな花を咲かせ始め、むしろ「クールジャパン」的な国際性さえ獲得していくに至った、というわけである。

だから零落したサブカルの側は「志が低いくせに成功した」オタク文化を憎んだ、というストーリーでそれが語られているわけである。もちろんおたくの側も順風満帆だったわけではなく、特に宮崎勤事件では大きな打撃を受けたことはよく知られている。社会を志向していないが故にかえって反社会性の烙印を押されたわけで、それは大きな打撃ではあったが、それを乗り越えて現在の隆盛に至っているわけである。

サブカルはそうした起源からもともと左派的ではあったが、おたくも社会に受け入れられないが故の反政府性からくる左派性を持った人が多かったのだが、左派方面からの表現規制の強まりによって自民党支持、保守党支持に転換し、その辺りでもサブカルがおたくを憎むという構図が残ったということなのでもあるのだろう。

ただ、その流れから行ってサブカルの側が「表現そのもの」よりも「社会から評価される、社会に影響を与える」ことの方に重点があったのに対し、おたくの側は「表現そのもの」こそが最も重要なものであったわけで、そこに危害を加えられることは存在の根底に対する攻撃であったわけで、おたくがそこから政治姿勢を転換したのは当然、というか政治姿勢などはもともと二次的なものだった、ということなわけである。

この辺の図式を喜多野さんはわかりやすく解説しているので、大変自分などには役に立った。私はまさに同時代を生きていたのだけど、あまりそういうことに関心がなく、対立といってもどういうことなんだろうなという感じで見ていたのである。

私は漫画は80年代ニューウェーブ、恐らくはサブカルの流れを汲む作品が好きで読んでいて、子供の頃から宝島なども読んでいたし、ロックも好きだった。左派的な意味でのスピリチュアリズムにも関心はあったし、演劇もやっていたので、大きな流れとしてはサブカル文化の方により親和的だったのだと思う。

しかしそのことがアイデンティティであったわけではないので、東京に出たのをきっかけに美術館巡りなどにも結構出かけたし、映画もハリウッドや日本のロードショー映画よりも単館上映のヨーロッパ映画の方を好んで見ていた。漫画に関しては少年誌で読んでいたのは「ストップ!ひばりくん」くらいになっていて、スピリッツ・モーニング系の作品を読む感じにはなっていた。90年代には新しいものはほとんど読んでないし音楽も聴いていないので、その辺が自分の中で欠落した歴史に放っている感じである。


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