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渋井真帆『渋井真帆の日経新聞読みこなし隊』

渋井真帆の日経新聞読みこなし隊

日本経済新聞社

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前回丸善に行った時に気になっていた『渋井真帆の日経新聞読みこなし隊』(日本経済新聞社,2005)を買う。前回来たとき丸善で売上ランキングの高いところにいたので地元の書店でも売っているかと思い探したのだが見つからなかった。今回はもうランキングからは落ちていたが、比較的容易に見つかった。

丸善地下の神戸屋キッチンでオムライス弁当を買って電車に乗る。特急の車中で読んだのはほとんど『日経新聞読みこなし隊』で、結局茅野あたりで読了した。この本は経済の入門書としてはとてもよくできていると思う。経済と言うものをわかりやすく説明した本と言うのはあまりないと思う。どんな分野でもそうだが、本当にわかりやすく説明すると言うのは明らかに相当大きな才能だ。それも、経済と言う多くの人がわかりたがっているものをこれだけわかりやすく、また勉強の方法も含めて開陳しているこの本は教科書としても使えるのではないかと思う。

実際、経済に関しては各種のセミナーが開かれていてみんな一生懸命勉強しているようだが、この本を読んでいると逆にどういう感じの需要があるのかということが分かって面白いという面もある。経済と言うものには私などは疎い方だが、どういうところに着眼して膨大な経済記事の掲載された日経新聞を読めばよいか、どういうふうに見れば興味が湧くか、といったことをソフトな語り口で説明していて、そういうところも勉強になる。

いくつかポイントをまとめると、経済記事を「個人」「企業」「国」の三要素に分けて把握すること。一つのニュースでもその3要素から見ればどういうことが言えるかを考えて整理しておくこと。これは当然のことのようで私などからするとコロンブスの卵という感じで非常に目から鱗が落ちた。

また日経新聞の記事の大半を占める企業関係の記事については、企業活動のプロセスが@資金調達A投資・運用(雇用、生産等も含め)B営業・販売・納税C株主への利益配分・内部留保D以上のプロセスを仕切る経営者の選任、の5つから成っていることを理解し、その記事がそのプロセスのどれにあたるのかを考えて読めば、その会社がいまどのように動いているかがわかる、ということである。これも当たり前のようだが、私などの門外漢から見るとまるで魔法の杖を振られたようにあっという間に腑に落ちた。まあどんな分野でも分析方法と言うよく切れる刀を持てば物事を理解できる、というのを経済の分野で鮮やかに示してもらったと言う感じだ。(2005.10.19.)

  

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