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キヨサキ『金持ち父さん 貧乏父さん』

金持ち父さん貧乏父さん

筑摩書房

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   暫く前に友人に薦められて読んだロバート・キヨサキ『金持ち父さん貧乏父さん』(筑摩書房、2000)を読み返してみる。金儲けの本を読むなんてちょっと気持ち悪いな、と最初に勧められたときは思ったのだが、案外そんなものでもない、とそのときは思った。今読み返してみて印象に残るのは、たとえばこんなところだ。

   「人間の恐怖と欲望こそがブレア・パッチ(罠・引用者注)さ。恐怖をしっかり見つめ、欲望、人間の弱点、強欲さに立ち向かうことこそ、そこから抜け出すための道なんだ。その道は頭を使って切り開く。考えを選ぶことによって切り開くんだ。」

   「感情に反応するんじゃなくて、自分で自分の考えを選ぶんだ。請求書の支払いが出来なくなるのが怖いからというだけの理由で、それを解決しようとただ毎朝起きて仕事に行くのじゃなくてね。考えるっていうのは、時には自分自身に問いかけるための時間をとることを意味する。たとえば『もっと一生懸命働くことがこの問題を解決するのに一番いい方法なのだろうか?』といった質問を自分にしてみるんだ。たいていの人は自分自身に本当のこと―恐怖が自分を支配しているということ―を言うのが怖くて、考えることすら出来ない。そして考える代わりに玄関から飛び出して行く。」

   これは「お金のために働く」、という心性をよく説明している。給料を受け取る以外の金の稼ぎ方、つまり生活を立てたりやりたいことを実現したりするための方法を「考えなくする」ということだ。そしてそれは一つの道徳、一つの倫理として確立されているし、私自身もその影響を相当受けていることは確かだ。しかしその心性に安住していては多分小林のいう全人性を回復することは出来ないのだと思う。近代社会はある意味そういう「罠」に新中間層を掛けることによって成立しているところがあるのだなと思う。(7.18.)

  

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