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森行生『ヒット商品を最初に買う人たち』

ヒット商品を最初に買う人たち

ソフトバンク クリエイティブ

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大手町で降りて、街を歩き、オアゾの丸善に。ここは9時までなのでゆっくり本が見られた。森行生『ヒット商品を最初に買う人たち』(ソフトバンク新書、2007)を買う。タント・マリーでケーキを買って帰る。

帰ってきて缶チューハイを飲みながらラジオを録音し、勢いで日記も更新。

『ヒット商品を…』はマーケティングにおけるイノベータ理論の話。「ヒット商品を作り出す層は誰か」という話で、よく女子高生がそうだとか、マニアがそうだとか言われるけど、そういう場合もあるけれども必ずしもそうではない、という話が面白かった。まだ読みかけだけど、つまりは「あたらし物好き」で「いい」と思ったらすぐ買ってしまい、またその商品のよさをこだわりなく人に教えてあげる人たちこそが「イノベータ」になるのだ、という話が面白かった。女子高生は自動車のイノベータにはなれないし、マニアはこだわりすぎて商品知識などに対するプライドが高く、一般の人のわからない言葉を使うことに快感を感じるのでイノベータにはならないという話が説得力があった。マズローの欲求充足の5段階のうち、マニアは「尊厳の欲求」が強い、つまり相手を自己の知識によって屈服させようというような意識が強いが、イノベータは「自己実現の要求」によって行動するから、こだわりがない、というような話が面白い。まさかマズローが出てくるとは思わなかったが、考えてみればマーケティングというのは心理学と不即不離な関係があるんだよなと思う。今までそういうことを考えたこともなかったが、この本を読んで「マーケティング、あるいはマーケティング理論って面白いな」と思った。しばらくそっちの本にも間口を広げてみようと思う。(4.9.)

家で読んでいた本は森行生『ヒット商品を最初に買う人たち』。昨日も書いたが、この本は面白い。お勧めだ。マーケティングの考え方がイノベータ理論に基づいて説明されている。

この本を読んでいちばん収穫だと思ったのは、マーケティングというものが面白いと思ったこともあるが、「イノベータ」という心的傾向、生きる姿勢というか態度の傾向の問題だ。イノベータというのは革新者、つまり消費者としての姿勢で言えば自ら新しい商品を見つけ出して使いこなしていこうとするタイプ。それに「アーリーアダプタ」、人の面白いものを見て人に自慢するために買うタイプ、みなが買ってから安心して買う「フォロワー」と三つのタイプに消費者を分けて分析していて、なるほどと思う。イノベータは商品について多くの情報を集め、自分の商品選択眼に自信を持っていて、人に左右されずに新しいものを買う。アーリーアダプタはイノベータが面白いものを使っていたらそれがいけるかどうか判断し、すかさず買う。そのようにしてブームが起こると、周りから影響されて買うのが一般のフォロワー、という話だ。

イノベータは新しい商品の「規格」に反応し、アーリーアダプタは商品の利点(ベネフィット)に反応し、フォロワーは商品の「イメージ」に反応する、というのもおお、なるほど、という感じだ。広告にも当然いろいろな種類があって、「規格」(といってもデザインだとか材質だとか多岐にわたるが)を訴える広告もあるし、利点を訴えるものもある。イメージを訴えるものがいちばん目に付くが、それはフォロワー向けということなのだな。

この中でいちばん消費者としてクリエイティブなのはイノベータだし、そのクリエイティブな面は新しいものを作り出す側のクリエイティビティと互換性があるように思う。

私としては、消費者としてということもあるけれども、いろいろな面でイノベータであることを目指したい、目指すべきだという印象を強く受けたのだ。

私はどちらかというと今まで「マニア崇拝」というか、マニアのようにひとつのことに集中して面白がれるひとが偉いと思ってきた、というか、自分はそうではないことはよくわかっているので、いわば「マニア・コンプレックス」のようなものがあった気がする。しかし、「イノベータ」というものの存在とその意味が分かってくると何もマニアであることを目指す必要はないんだなと思ってずいぶん気は楽になった。学問とかやってると、どうしてもマニア性がないと出来ないので、そういうコンプレックスがずいぶん染み付いたのだなと思う。

そういう意味で自分にはプラスになった本だったが、それだけではなく本として十分面白い。(2007.4.10.)

  
ヒット商品を最初に買う人たち

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