トランプ関税はJETROの記事ですでに1月に問題化されていた/日本で減税が行われない理由とアメリカで再配分が嫌われる理由/JETROの海外ビジネス情報が面白い

Posted at 25/04/12

4月12日(土)晴れ

昨日書いたガーディアンの記事、「隣人を憎め」だが、続きを読んでいたらどうも右派に対する非難と左派の考え方の正当化しか書いてなくて途中であまり面白くなくなった。一応最後まで読もうとは思っているが、今日はとりあえずそれについて書くことはない感じではある。

トランプの関税政策について、すでにJETROは去年の段階でそういう記事を書いていたというツイートを見たので探してみたのだが、おそらく下の記事だと思う。

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/961ff8c5ad73f7c4.html

すでにこの去年4月の記事で「トランプが大統領になった場合の多様な関税措置」について言及しているし、またアメリカに進出している日本企業からもすでに懸念の声が上がっていたことがわかる。それについてトランプが実際に関税措置を実施して初めて外務省も政治家もメディアも騒いでいるという感じがするのはやはり彼らが自分自身が「太った豚」というか権威化しすぎていてヴィヴィッドな国際情勢への対応ができなくなっているところがあるからなのだろうという気はする。

また現時点でJETROの海外ビジネス情報で一番読まれている記事が今年1月15日の「外交手段としての関税政策、トランプ関税の日本への影響」という記事で、これがこの時点で読まれて真剣に対策が行われていたら今ほど慌てふためかなくても済んだのではないかという気はする。まあ対策は実は立てられていて、それが予想以上だったから慌てている、くらいならまだいいのだが。

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2025/0102/a9120b3b32ef3400.html

しかしこれを読んで、JETROの海外ビジネス情報というのはいちいちとても面白いなと思った。私は子供の頃から朝日新聞を読んでいたけれども、1990年代にあまりに偏りがある感じがしてきて取らなくなり、それでも2000年代にはネットで情報が得られるようにはなったがやはり新聞系のメディアに頼っている感じはあって、日本の新聞はどれも似たり寄ったりであまり面白くないと思っていたのだけど、日経新聞の経済情報は面白いなと思っていた時期があったのだけど、最近は日経新聞自体がかなりバイアスのあるメディアだなと感じられてきて、それも読まなくなってきた。

で、結局Twitterなどに出てくる記事しか情報源がなくなっていて、それも流石に偏りがあるなと思って朝日新聞についてはサブスクで記事を読んでいるのだが、他の新聞は無料部分しか読まない感じになっていて、どうも情報に制限がある感じで気持ち悪いなと思っていた。

しかしこのJETROの海外ビジネス情報は面白い。自分が知りたいことも、あまり関心がなくて知らなかったけど重要そうなこととか、いろいろがフラットな立場で書かれていて自分が気になる偏りが少ない。しばらくしっかり読んでみたいなと思わせる媒体を知ることができてとても良かったなと思う。

***

https://x.com/kemohure/status/1910415480210546898

このツイートに繋がる蓮ツイでクルーグマンの言葉が引用されていて、「アメリカで再配分が支持されない理由は人種の分断だった」、ということが述べられている。つまりアメリカでは、そうした制度(再分配と格差是正、社会保障制度全般)の受益者は自分たちとは違う「あの人たち」だと考える人があまりに多いのです」「シニカルな政治家が人種間の緊張を強化させているのです(略)差別観につけこんで政策(反社会保障的政策)を売りつけます。でも、その政策は、肌の色には関係なく、(全ての)労働者たちを苦しめるものなのです」と述べられていて、これは大変腑に落ちた。

再配分という概念が嫌われていることでは、今日本でも特にツイッター上で問題になっている「公金チューチュー」が嫌われていることと通じるものがあるだろう。日本でも生活保護制度についての批判などは結構根深いものはある。

日本の再配分制度は最後のセーフティネットとしてはまあまあ良くできていると私は思うのだが、今の政府財務省は「再配分」に頼りすぎていると思うし、それによって「減税」を選択肢から排除してしまうのがバランスが悪いと思う。何がなんでも減税より再配分、になってしまって、「直接給付」とか本当に緊急の時にしか意味のないバラマキをやってしまうのは危ういだろう。

財務省がそういう傾向になるのは、徴税権という権力を少しでも減じたくないということだろうし、また社会主義国の権力者は「再配分を決める権限を持ったものだった」という「ソビエト帝国の崩壊」だったか小室直樹の指摘にあるように、再配分の権力も失いたくないということであって、つまりは「財務省の権力意志」の現れであるから、「非合理なまでに減税を嫌う傾向」に日本全体が振り回されていることになってしまうのだろうと思う。

それにしても、アメリカで再配分が嫌われる理由は人種間の分断にあるというのはかなり腑に落ちた。貧しい白人たちも、「再配分」というと反射的に「黒人やヒスパニックへの優遇」だと思ってしまうのだろう。それが本当に必要なのはヒルビリーのような貧困白人だとしても、彼らは「あんな奴ら」と一緒にされたくないと思ってしまうから、拒絶することになるわけである。

差別感情に基づいて再配分が嫌われる、ということはまあなかなか評価は難しいが、ただ貧しい人が公的扶助を拒絶するときの「施しを受けない」というプライドの高さというものは、必ずしも否定するべきものではないと思う。それを考えれば日本でも「再配分」によってではなく「減税」によって現役世代の負担を減らすというのは合理性があると思うのだが、そういう方向で検討してもらえるとありがたいとは思う。


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