お彼岸の大雪の卒業式/「ふつうの軽音部」:「ラ・チッタ・デッラ」と鳩野ちひろのオリジン(1)

Posted at 25/03/19

3月19日(水)雪

季節外れの大雪である。明日がお彼岸の中日、ところによってはもう桜も咲いているかとは思うが、北極の寒気が偏西風の乱れで南下したということだろうか。朝からサンデーとマガジンを買いにコンビニに行ったらもうヤンジャンとモーニングも出ていて、明日が春分の日で休日だから今日発売なんだ、と気づくなど。セブンのレジ前にお彼岸用の花が出ていて、いつが彼岸だっけとぼーっと考えていたのだが、今が彼岸だった。こんな雪では今日は墓参りに行けないが、明日の中日なら行けるか。あるいはもう少し先にしたほうが良いのか。

今日は地元の中学が卒業式ということなので、道路の除雪もなるべくしっかりしておいた。職場の入り口と作業場の坂道も除雪はしたのだが、まあこんな天気だから卒業生の多くは親に車で送ってもらうかもしれない。卒業式に雪というのは流石に長野県のこちらでも珍しいのだが、まあ降ったら降ったで対処するしかないのだが。

そのほかいろいろなことで急にやらなければならないことが増えたのだが、三月というのはそういうものかもしれないとも思う。ゆっくり落ち着いて、慌てずに一つ一つやっていこうと思う。

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「ふつうの軽音部」、主人公鳩野ちひろの「オリジン」と「ライジング」というテーマで書こうと思っているのだが、とりあえず下書き的にいろいろ書いてみたい。

この作品の物語はいきなり「明日から高校生」の鳩野が「今日!私はエレキギターを買う!なぜなら軽音部に入部したいと思っているから!」と宣言し、自分の憧れの向井秀徳が愛用している「フェンダー・テレキャスター」を買う、というところから始まる。いきなり勢いのいい出だしなのだが、物語を読み進むにつれ、この時の彼女には相当な決意があったということが察せられるようになる。彼女は陰キャで初心者で、しかもお年玉の貯金と母への借金でプロも使っているモデルを買うのだから、相当な決意があったわけである。

だからこのストーリーの始まり自体が実は彼女に取って大きな転機のはずなのだが、決意をして買ってはみたものの試奏しますかと聞かれてできるわけねえだろと思ったり、高校に入学しても友達ができるかとか軽音部に入ってもバンドが組めるかとかそこから心配しているわけである。物語の側からの助け舟としてクラスでは内田桃という陽キャの軽音部入部希望者が、でも彼女とはバンドは組めないのだが仲良くなった陰キャ友達の矢賀の紹介で高身長おっとり系ショートヘアのベース・幸山厘を紹介されたり、ここは努力というより出会いの力で物語が進んでいく。

出会いといえば、最大の出会いは最初のギターを買った楽器店で試奏していたギターめちゃウマの少年鷹見項希が実は同じ高校の同じ軽音部で、歌もめちゃくちゃ上手いのだが鳩野は「不吉なものを感じる」、後になったら「なんか知らないけどムカつく」存在になり、1番のライバルになっていくわけで、この緊張関係が物語を止揚させていく力になるわけである。

また憧れの存在も現れる。新入生歓迎会で軽音部代表として演奏した新田たまきのバンド、性的カスタマーズ(バンド名は後で判明)が今時の少年少女は知らない「銀杏BOYZ」の「あいどんわなだい」を演奏し、自分は大好きだけど今時のJKがこんな曲を!と驚くものの、その弾けた歌詞と演奏に最初は共感性羞恥で苦しみながら、だんだんその大胆な演奏に感動し、憧れるようになるわけである。

バンドはなかなか組めないが、幸山厘を目当ての1年男子「ヨンス(ギターボーカル)」とそのめちゃ仲のいい友達の「カッキー(ドラム)」が声をかけてきて、バンドを組むことになる。そのバンド名を決める中で迷走するプランに危機感を覚えた鳩野は昔の楽しかった父との思い出の場所を思い出し、その名前を提案するとすんなりそれに決まったわけである。それが「ラ・チッタ・デッラ」、川崎のモールというかお洒落な商店街の名前だった。

最初の合わせの演奏は酷いものだったが、その演奏の動画を撮ってくれた新田たまきと一緒に帰ることになってハンバーガー屋で話し込み、その時に自分の音楽の趣味は「ナンバガとか父親が好きだったから」という話をする。その後出てくる幼年期エピソードではいつも父との場面が回想されていて、鳩野が「お父さん子」だったことがわかるわけである。「ラ・チッタ・デッラ」そんな鳩野の「幸せな幼年期」の象徴であり、その名前をこの適当に組まれたバンドが背負っていくことになるわけである。

軽音部の6月ライブはバンド数が多いので1年生は3バンドしか出られず、オーディションに臨むことになるが、案の定オーディションは落選し、男子たちはやる気を無くしてサボりがちになってしまい、鳩野は一人悶々とする。そんな中、ライブの前日にセッティングされた視聴覚室に忘れ物を取りに来た鳩野は誰もいないステージにテンションが盛り上がってしまい、ギターを適当に弾きながらandymoriの「Everything is my guitar」を熱唱する。歌いながら鳩野の過去が回想され、中学の時に両親が離婚して大好きだった父と別れ、ちひろは大阪に転校し、級友たちとカラオケに行ったら声が変だと笑われて深く傷ついたことが見せられる中で、自分がギターボーカルとしてみんなが熱狂している場面を幻視し、たまきとのやりとりを思い出して希望を取り戻したときに突然、厘が現れて二人とも絶句する、という最初の山場が現れる。

これを「転機0」とすると「ギターを買った」ことが「転機マイナスワン」になるわけだが、まあ根拠はないがかっこいいからそのように名付けておきたいと思う。鳩野が言っているように「これが大いなる間違いでありすべての始まりでもあった」ので、「転機0」と名づけるのにふさわしいようには思う。

ちひろにとっての「幸せな幼年時代」は中学時代の「両親の離婚」によって突然終わる、いやその前にいろいろとない分けはないので、酒浸りのバンドワナビーだったと思われる父親としっかりものだが椎名林檎好きの母親との関係も今のところは想像するしかないが、「ラ・チッタ・デッラ」の時代はミュージシャン、というかそれ以前の軽音部員としての鳩野にとっての「雑な幼年期」という感じで重なってくるのかなと思う。

「ラ・チッタ・デッラ」はちひろにとって「父との幸せな幼年時代」の象徴で、その幼年時代の思い出はまさに彼女のオリジンの一つだと思うのだが、私も好きな街なので、この時代のことがもっと良い印象になってくると嬉しいなと個人的には思う。物語の展開(60話現在)ではヨンスとも結構友達として仲良くなってきているので、このバンドを組んでいた頃のイメージもあとから上がる可能性もあるのかも、という気持ちもある。



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