「ふつうの軽音部」60話「機先を制する」:仮装と宣戦布告と絶妙なセットリスト/「サバシスター」の現代性/ギターを弾く/家父長制/虚構新聞

Posted at 25/03/16

3月16日(日)曇り

昨日は午後から雪になり、どれだけ積もるかと思ったがあとは降ったり止んだり、今朝になってからは雨になってそれも降ったり止んだり。春先の天気というのはこういうものだっただろうか。乾燥が続くと思ったら暖かい雨と柔らかい雪。薄寒いような、生暖かいような、そんな天気。今の気温は3.6度。まあそんなものだろうか。

最近はずっとギター(アコギ)を弾いていて、弾き語りができないかと練習しているのだが、やっているうちに少しずつ昔の感覚を思い出してきた。一時はずっと音楽から離れていたから、それでもお金のある時に買おうと思って神保町の黒沢楽器でマーチンのミニ(やや小さめ)を買ったりはしていたのだけど、昨日保証書を見たら購入したのは2008年で、もう17年も経っていて驚いた。あまり使っていないせいかいつまでも新しい感じがする。自分は主にアコースティックかクラシックのギターを弾いてて、エレキはほとんど弾いたことがない(ステージも大学の文化祭で一度出ただけ)のだが、「ふつうの軽音部」を読んでいるとギターを弾きたくなる。本当はエレキギターを弾くべきなんだろうと思うが、まあ馴染みがないからアコギを弾いているという感じである。

弾いているのは主に「ふつうの軽音部」に出てくる曲なので元々は全然知らなかった曲なのだが、弾きやすいものもあれば弾きにくいものもあり、簡単そうに見えても歌いにくいものもあったり、これは実際に弾き語りをしてみないとわからない。そういうのも面白いなと思う。そして合間に自分が引いてきたフォーク時代の曲とかを弾いてみるとすごく弾きやすかったりして、まあ育った時代というものはあるよなと思う。

https://shonenjumpplus.com/episode/17106567264132036203

昨夜は12時からの「ふつうの軽音部」の時間までなんとなく起きていて、更新とともに第60話「機先を制する」を読んだのだが、待ちに待った演奏シーンはサバシスター「覚悟を決めろ」。知らない曲だったがApple Musicでダウンロードし、かけながら読んでいたのだが、かなりいい。主人公の鳩野ちひろは基本的に古めの日本のロック、それも男ボーカルのものしか聞かない人だからガールズバンドの曲は珍しいのだが、選曲が内田桃、はーとぶれいくに加わる前は中学の友達3人とスリーピースのガールズバンドを組んでいた桃の選曲だというので納得。

内容的には鷹見たちのprotocolに対する宣戦布告みたいな曲になっていて、そして「どんなに強く握りしめても いつかは手から離れて落ちる」という歌詞が行き違いから関係を切られてしまった友達への想いを反映していて、それを音楽に人一倍うるさいprotocolのドラマー・遠野に感じ取られているという展開はとても良かった。

サバシスターズは初めて聞いたのだが、とてもいい。作中でも「初めてはーとぶれいくを聞いた」勢は驚愕してて、2度目勢はノリノリなのもすごくいい、鶴とプロトコルはのぞいてだが。そういう反応に対し、彩目もそうだが鳩野がしっかり手応えを感じているのがいいなと思った。鷹見は例によってスカしてやがるのだが。

1番いいのは山添と喜田が感心してる中でたまき先輩がもうファン目線になってること。カキフライの野呂がビックリしてる横で鶴が「鳩野ちゃんはこんなもんじゃないけどね」と後方腕組みプロデューサー目線になってるのもいい。亀屋兄弟が魂を抜かれてるのもいい。いやつまり神回。

この、鶴が「鳩野ちゃんはこんなもんじゃないけどね」というの何か引っかかっていたのだが、文化祭の演奏シーンを読み直してたら厘も「まだこんなもんじゃない」と言ってるとを見て、この二人の策士に共通する視線を感じたのだが、つまり、鶴先輩も「リンダリンダ」を聞いてたんじゃないかという気がする。

鶴がカキフライの面々にはーとぶれいくを推すというところで全てがつながる。後の焦点は厘の選曲が「リンダリンダ」かどうか、ということなんだが、それを超える曲が来る可能性も。ワクワクする。

物語の構成としても、サバシスター「覚悟を決めろ」という最新の曲の後に、読者の主力層であると思われる30代の心に響く「ジターバグ」を演奏する、という展開もセットリスト神であると思った。

前回は桃の用意で「鳩野=イワトビペンギン」「彩目=カラカル」「厘=オオアオムチヘビ」「桃=マウンテンゴリラ」という仮装で現れ、一体どうなることかと思ったが、鷹見に笑われてムラムラと反骨心が戻った鳩野が歌い出すと、返って珍妙な仮装がかっこよく見えるようになる、という仮装の最高例みたいになったのもすごいなと思った。

また、ラストシーンの「(私たちは)いつか・・・すごいバンドになるかもしれないから 今のうちに追っかけとかなきゃ損だよ。なんてね」は、37話の中学時代の鳩野が「高校生になったら軽音部に入って文化祭で超絶技巧のギターを披露して大盛り上がり…という妄想」という「陰キャの妄想」の受けでもあるんだよなと。妄想が野望に成長してる。すでにそれだけの道を歩いてきている。本当にいろいろなことを考えさせられる回だった。

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取り上げられているサバシスター、調べると「ジモティ」でメンバー募集して「サマソニ」で認められ、去年ポニーキャニオンから「サバの日=3月8日)にデビューした本当に「いまのバンド」だということがわかった。「覚悟を決めろ」のMVももっと深刻な作りかと思ったら、全然コミカルで銀杏BOYZのようなシュールなところがほとんどなく、デビューまでの軌跡、みたいな感じですごく素直だった。いい意味で衒いがない。

またサバシスターのドラマーは小学生の時に「太鼓の達人」で開眼し、ドラムを習い始めたというのめちゃくちゃウケた。本当に現代っ子だなあと思う。

サバシスター、スリーピースだから一人はベースかと思ったら二人ともギターで、でもベースの音入ってるよなと思って調べたらずっとサポートメンバーとしてついたらベースの人がいるらしい。だけどガールズバンドという売り方だから正式メンバーになってないということなんだろうなと。ライブに行かないとベースの人は見れないということなんだろうか。まあそういうのもちょっと面白いなと思ったり。

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このところ実家にいることが多いので、「家」というものについて考える機会が多い。

https://x.com/GoITO/status/1900892514657189941

というツイートを読んだのだが、こういう人は多いんだろうと思う。無くなりそうになって初めてなぜ日本人が何百年も「家」を拠り所に生きてきたのかが分かる、というか。本当の保守というのは日本ではこの「家父長制」を守ろうとしてきた、守ってきた人たちのことなのだよなと思う。こうした保守思想を支えるための、家制度を守ろうとしたら守れるような法整備もあってもいいのではないかという気がする。

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https://x.com/honnokinomori/status/1901045770209685577

このところ世界中でフェイクニュースが飛び交っているので、日本で老舗のフェイクニュース専門サイト、虚構新聞がメジャーメディアに取り上げられることも機会が多くなりそうだ。「お前が深淵をのぞいている時、深淵もまたお前をのぞいているのだ」とはニーチェの言葉のようだが、この「世界」というものは思わぬところで視線が合ったりする。ゆめゆめ油断しないようにしないといけない。


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