1990年代日本はなぜアメリカに徹底的に潰されたのか/憤るだけでも取り込まれるだけでもダメ/アフリカを知るにはまず地理と歴史から

Posted at 25/03/10

3月10日(月)晴れ

在東京。最低気温は3.2度、やはり東京は暖かいが、何というか諏訪とは寒さの質が違う。なんというか信州の方が寒さが鋭い。

昨日は11時半ごろ実家を出て車で帰京。八ヶ岳で休憩、境川で昼食、石川でトイレに行って自宅に戻ったのが3時ごろ。首都高4号の外苑―三宅坂間で事故渋滞があり、それで20分ほど押した感じだった。外苑で降りて代官山でもう一度乗るという手もなくはなかったが、知らない道を走る気分でもなかったのでやめて我慢した。

4時ごろ出かけて図書館で本を返し、神保町へ。「世界秩序が変わるとき」を持って出かけるのを忘れたので一度取りに戻ろうかと思ったが、そのまま出かけた。しかし神保町に行っても関心が割とはっきりしているのでこれを買おうという本がなく、「世界秩序が変わるとき」がどれくらい扱われているかを調べたりした。東京堂の新刊書のところには並んでいたが書泉グランデと三省堂では見つけられなかった。喫茶店に入る気もあまりしなかったのでそのまま淡路町まで歩き、丸の内線で東京駅に出て、オアゾの丸善へ行った。

ここではさすがに「世界秩序が変わるとき」は入ってすぐの棚に面陳で並んでいて、やはりビジネスマンが読む本なのかなと思ったり。3階のカフェに行ったがスパゲティの扱いがなくて結局入らなかった。東西線で地元に戻り、イキイキで夕食と朝食の買い物をして帰った。

夜は「ダーウィンが来た!」のシーラカンスの特集を途中まで見ていたが面白かったのだが、途中まで見てなんか疲れたのでやめた。

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「世界秩序が変わるとき」は第3章途中、134ページまで読んだ。結局重要なことは、1902年の日英同盟以降日本はイギリスの世界戦略に組み込まれ、アメリカとも好意的な中立関係を持っていたが、第一次世界大戦後に同盟関係を失って米英と競争的・敵対的な関係になり、第二次世界大戦で衝突してその後は軍事的にアメリカの世界戦略に組み込まれることになったが、東側との対立の橋頭保的な位置にあったため日本は経済的に優遇されて高度成長を成し遂げたが、それを自分の力だけで成し遂げたという錯覚に陥っていた、という指摘が重要だと思った。

確かにアメリカに集中豪雨的に輸出する一方で輸入は最低限、防衛はアメリカが肩代わりなどという状況は普通はないわけで、それを理解していた人たちは「親米派」になったけれども第二次世界大戦での遺恨や戦後処理に対する反発、社会主義陣営へのシンパシーなどを持っていた人たちは反米感情を持ち続けることになっていた。ただ親米派にしても1990年代の岡崎邦彦氏などの言説にあるように「日本はとにかくアングロサクソンについていけばいい」というような情緒的な表現でその立場を説明していたから、そのこと自体に反発する人も少なからずいたと思う。

1992年にソ連が崩壊し冷戦が終わると日本を優遇する理由がなくなり、経済的にもアメリカと対立する面が強くなってきたからジャパンバッシングが激しくなり、経済的には日本の代わりにNIES諸国に肩入れして、中国が経済的に成長して来たらそれに任せたらいいという、冷戦期とは全く違った発想で日本がバッシングされパッシングされるようになったというのはその通りだと思う。

大統領からの書簡で「この銀行は持たないから潰すべきだ」と言われたりしたというのは初めて聞いたが、言われて仕方ないので破綻させると金融危機が起こり、今度はアメリカが掌を反して危機が世界に波及しないようにしろと言ってきたり、だいぶひどい扱いを受けたというのはやはりそうだったのだよなあと改めて思った。だからクリントン政権については昔から嫌いなのだが、そのへんあまりちゃんと認識していない人が多いよなと思う。

著者が金融機関の破綻処理でなぜ金融危機が起こるか予測できたかと言えばそういう金融機関は護送船団方式で今まで守られてきたから破綻処理のスキームが出来ていないことを理解していたからだと言い、当局者自身がそのことに気づいていなかったというのは高い給料をもらっていて何をやっているかとは思うが、まあそんなものかもしれないとも思う。そういう事態をアメリカ側はせせら笑っていたというが、同じことがリーマンショックの時に起こって、アメリカもスキームがなかったからあわてることになった、というのは少し溜飲が下がったが、日本の事態もよく研究したのか、1か月でスキームを立ち上げるという対応の速さを見せたのだという。

現在では日本はむしろ再び優遇される傾向が復活していて、それはアメリカの中国への敵対心が大きくなっているわけだが、つまりは「経済的に利益があれば中国も西側のリベラルな世界観を受け入れるだろう」という幻想が破れたことが大きかったわけである。この辺のところは私などから見れば何をいまさら、という感じはあるが、日本にも中国やロシアもリベラル世界秩序を受け入れるという楽観論が強かった時代もあったから、まあアメリカだけをバカにすることもできないなとは思う。

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ロシアもアメリカも日本にひどいことをするわけだが、他の国にもひどいことをしているし、彼らには彼らの論理があるので、「ロシアやアメリカは酷い国だ」と憤るだけでもダメだし、「彼らにも事情があるんだろう」と取り込まれてもダメだなと思う。なぜ彼らがそういう行動に出たのかという背景まで理解してそれへの対処を考えないといけない。共感とか反発とかはとりあえず必要ない。

この「憤るだけでも取り込まれるだけでもダメ」というのがなぜかみんな結構できないんだよなあと思う。それが権力とか軍事力とか経済力とか支配する力の魔力というものだと思うが、まずは自らの自立の精神、独立の精神を陶冶すべきだとは思う。理性と胆力の双方で。

権力とみると擦り寄るか反発するかしかできない、というのはやはりまずいわけで、「冷静に観察する」という第三の道は必要だ。もちろんなかなかそんな客観的な立場を許さないのが権力というものだから、擦り寄る振りとか反発する振りというものも必要になってくるわけだけど。

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「日本と韓国は別の国か」とアフリカ系の人に聞かれて失礼だなと思いながら「別の国だ」と答えたら、「あなたはナイジェリアの隣国がどこかいくつ知っているか」と聞かれて自分の方が失礼だったと思った、というツイートがあって、まあそんなものだよなとは思った。

実際、ナイジェリアの隣国は東がカメルーン、北東がチャド、北がニジェール、西がベナンなのだが、私はカメルーンとニジェールはすぐ出て来たがチャドは出てこなかったし、西はトーゴとブルキナファソかと思った。実際にはその間にベナンがあるわけである。

ニジェールとナイジェリアは両方ともニジェール川が国名の由来だからすぐわかったが、ナイジェリアの西側の川沿いにたくさんの小国が並ぶギニア湾北岸諸国の並び順は正直言ってあやふやだった。

ガーナから東にトーゴ、ベナン(昔のダホメー)、ナイジェリアと並ぶわけだが、トーゴはもともとドイツ領トーゴランドだったのが第一次世界大戦で西がイギリス領に、東がフランス領に分割された。東側はナイジェリアとの国境あるいはその近くにモノ川が流れていて、トーゴランドの西側はヴォルタ川の流域なのだが、これは独立の際に住民投票でガーナと合併して独立することになり、フランス領の地域だけがトーゴとして独立したためにずいぶん細長い国土になったわけである。

トーゴという地域は地図で見ると熱帯雨林地域に思われるが、実際には海流等の関係で雨が少なく、「ダホメー・ギャップ」と呼ばれる領域に属していて、全土がサバンナ地帯なのだという。また民族的には沿岸地域にエウェ族と呼ばれる民族がナイジェリアからガーナにかけて住んでいるが、一時は彼らの民族主義も起こったものの、ガーナでは汎アフリカ主義のエンクルマに弾圧され、トーゴでは初代と二代目の大統領を出したものの三代目以降は北部の民族出身の大統領となり、エウェ族が支配階級になっている地域は今はないようだ。ただ人口は多く教育熱心なためアメリカにも彼らのコミュニティがあるのだそうだ。

こういうのを読んでいると、アフリカを知るということは地理と歴史を知ることから始めないといけないのだなと改めて思う。

実際、それに関連してリビアのサバクトビバッタの農業被害の話とか、チャドの大統領が東部の小都市を訪問したニュースの意味(前大統領=現大統領の父親がその都市出身)とか、スーダンの紛争においてトルコの武器会社が戦争を煽ったという米情報とか、モザンビークのサイクロン被害の激甚さ(インド洋で起こる熱帯性的気圧をサイクロンという)とか、実際「そうなんだ」と思うことが多いわけで、地理と歴史を知ると言ってもこの広大な大陸の世界で一番多い国の数を考えるとそう簡単ではないよなと思ったのだった。

そしてサイクロンについて改めて調べると、インド洋とオーストラリア北部、南太平洋で起こる熱帯性低気圧がサイクロンであり、北太平洋でも東経/西経180度より東で起こる熱帯性低気圧はハリケーンであって、台風/タイフーンとは東経180度以西の北太平洋で起こる熱帯性低気圧という定義があるようだ。これは以前調べたことがある気がするが、今読んでも少し意外な感じがするので全く忘れていたのだなと思う。

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