1990年代のアメリカの攻撃による日本沈没と現代日本エリートの新自由主義マインド/「ドリブルヌッコあーしちゃん」が面白い
Posted at 25/03/04
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3月4日(火)曇り
昨日は午前中からかなり雪が降り、今でも道路脇などには雪が残っている。今朝も曇っていて、雪はあまり溶けていないしこれからまた少し降るようだ。もともと寒冷地だから皆スタッドレスを履いているので特に問題はないが、雪の少ない地域では大変だろうなと思う。
母が病院に行きたいと言っていたのでどうしようか迷っていたのだが、かかりつけの先生が施設に往診に来られたということでとりあえず行く必要がなくなり、助かった。今朝も電話がかかってくるかと少し構えていたがかかって来ないのでとりあえずうまくは行っているのだろうと思う。このまま良くなってくれると良いのだが。
午後は作業場に行って少しマンガの整理などし、日が暮れてから岡谷に出かけて夕食の買い物をした。そのあと書店に行って新自由主義関係の本がないかと探し、斎藤ジン「世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ」(文春新書、2024)という本を手に取って読んでいたら、1990年代に日本がクリントン政権にめちゃくちゃ叩かれた頃のことが書いてあって久しぶりにムカついた。
この辺りのことは以前吉川元忠「マネー敗戦」(文春新書、1998)を読んだ時にかなり雷に打たれたような気持ちになったが、クリントン政権がとりわけ日本に対して冷たく中国を優遇したことは確かなのだが、これはアメリカの習い性というか、「経済力2位の国がアメリカに迫ってきたら叩く」ということの表れなのだという指摘が上記の本にあり、なるほど、だから今はアメリカが強力に中国バッシングをやっているのか、ということが認識できた。冷戦下では日本はソ連という対抗国家があるから自由主義圏として協力国家的な位置付けで繁栄を容認されていたけれども、冷戦終結とタイミングを同じくして日本の三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンターを買収したりと派手な行動に出ていて、この辺で「叩く相手」が明確に日本になった、ということなのだなと思う。
経済的にも金融的にも政策的にボロボロにやられて日本が没落し、一方で中国が発展していったのはつまりはクリントン政権の政策の表れだったわけだけど、ブッシュ・小泉関係あたりで方向性が変わり、今では明確に中国を敵認定しているので、日本は中国より目立たないように、アメリカに対して攻撃的に見えないように振る舞っていれば自然に国力は回復する、ということはあるだろうなとは思う。
結局1940年代の日米戦争も中国をめぐる利権争いが背景にあったわけだけど、大きな犠牲を出した後の当時の日本は冷戦構造下で経済発展のきっかけを掴んだわけで、結局は日中新冷戦の構造の元で再び機会を掴める可能性はあるということなんだろうなと思う。
まあアメリカも製造業の衰退は目を覆うばかりで、金融セクションなど実体経済からかけ離れたところで利益を上げる国になっているので、ウクライナに対しても十分な武器援助が行えないなどの結果になっているから、アメリカの覇権もどこまで続くのかはわからないが、日本はアメリカに2回負けているので少しはうまく立ち回らないとまずいだろうなと思う。中国やロシアが覇権国家になるよりはアメリカの方が相当マシであることは確かだと思うから、日本が覇権国家として成立し得るようになるまではその辺はうまく立ち回らないといけないと思う。
***
日本のエリートや高所得層における「新自由主義マインド」について考えていたのだが、この考え方は財務省の財政規律至上主義と結構相性がいい。つまりは日本のエリートや高所得層(上級国民というのもなんなのでこう言っておくが)に取っては中層以下の人たちの経済的困難よりも国家財政の赤黒の方がリアルに感じられる問題なのだろうと思う。
結局のところ国民民主党の「現役層(うまく言い換えたが要するに労働者のことだ)の手取りを増やす」という国民に人気のある主張は中途半端にしか取り上げられず、維新の会が前原氏の加入によって突如言い出した「私立を含めた高校教育の無償化」という主張を自公両党が受け入れて予算案成立へという運びになっている。
これは要するに「バラマキ」なのでそれを廃することをスローガンに出てきた維新の会にはあまりプラスにならない、というか迷走気味だと思うし、石破首相はそれを「税金で賄う」と言っているわけだからこれは増税への布石でもあると見られても仕方がないだろう。
要するに自公維三党は「増税バラマキ」で一致したわけで、これは財務省の権力の源泉の二つ、「税徴収権力」と「予算配分権力」を双方とも強化することになる。どう考えても財務省にしてやられたプランとしか思えない。
国民民主党の政策は要するに恒久減税=財務省の権力を削ることになるから、それを嫌がる財務省がスキャンダルなどで玉木代表を潰そうとしたように見えたが、彼らも誰も支持していなかったらそれができたはずがなく、要するに政策決定にかかわるエリート層や上級国民層にはその方が望ましいと考えられたから財務省が代行しているに過ぎない、という面もあるのだと理解するようになった。
だから基本的にはこうしたエリート層の「新自由主義マインド」を変えていく必要があるのだが、これは上に金融敗戦論で書いたようにその当時から特に強化された従来の年功序列への反発、成果主義・能力主義に基づきグローバル主義にも結びついたものでもあるので、その辺りを変えていくことはなかなか難しい面があるだろうなと思う。
というわけで、そういうことの必要性について、また少しずつ書いていきたいと思う。
***
https://shonenjumpplus.com/episode/17106567263957915746
ジャンプ+で新しい連載がいくつか始まって、一時新しい作品があまり好きなのがないなあと思っていた時期を抜け出した感じがする。
月曜日では昨日第8話の更新だった「セイレーンは君に歌わない」、昨日から新連載になった「ドリブルヌッコあーしちゃん」が面白い。火曜日では今日第7話が更新された「サネカの嫁入り」、第15話が更新された「サンキューピッチ」に加えて今日が第2話の「ライフイズオーバーキル」がめちゃくちゃおかしかった。また新連載というわけではないけれども木曜日にひっそりと更新されている「ダンダダン」の劉幸伸さんの旧作「FIRE BALL」も面白い。
それぞれ始まったばかりなので最初から読んで貰えばいいのだけれども、最近感じていることを一つ書くと、コメント欄にフェミニズム的な、微妙なエロ描写みたいなのがあるとここぞと叩いたり否定的な言葉を連ねるコメントが増えているということだ。これは少年マンガが女性にも読まれているということの一つの副作用ではあるのだが、Twitterをやっている人には周知のようにフェミニストの表現狩りというのは広範囲で行われていて、特に売れている商品や公共的なものにいちゃもんをつける傾向があるから、web漫画サイトナンバーワンであるジャンプ+が標的にされるのもまたある種当然の帰結ではあるだろう。
私はそうした表現に対し、基本的に擁護するコメントをしているが、一度コメントするとしばらくできなくなる(よくわからないが1日はたたないとコメントできないようだ)ので、どうも多勢に無勢というか、面白く感じているだろうサイレントマジョリティの声が届きにくい感じがする。上記の中では「ドリブルヌッコあーしちゃん」が特に批判されているのだが、近藤喜文だったら見せない(「耳をすませば」など)場面でも宮崎駿なら堂々とパンツを見せてしまう、みたいな違いをネチネチと批判している感じがしてどうなんだという気はする。
まあこういう批判に耐えて作品は大成するものといえばそういうこともあるし(本誌で言えば「逃げ上手の若君」などは最近ある意味やりたい放題だ)、作者さんには萎縮しないように描いてもらいたいなとは思っている。
「ドリブルヌッコあーしちゃん」はサッカーマンガ(ドリブルはもちろんドリブル、ヌッコというのはドリブラーが一対一で対してディフェンダーを抜くゲームという意味)なのだけど、私は「さよなら私のクラマー」など女子サッカーものは割と好きなので、面白くなるといいなあと思っている。
(蛇足だが私はフェミニズムは新自由主義の一つの現れだと思っているので、その辺のところもまたそのうち書きたいと思う。)
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