アメリカを見下すヨーロッパと日本を見下す中国
Posted at 25/02/26
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2月26日(木)晴れ
今日は2・26事件89周年。事件自体が遠い昔のものになってしまったが、現代史の事件たちそのものがどんどん100周年を迎えるのは、なんだか不思議な気がする。1920年台や1930年台と、私が子どもの頃の1960年台とではまだ地続きの部分があった感じがするのだが、今年が昭和100年であることを考えても、なんだか時間の経過というのは不思議な感じである。大正時代は全て100年以上前ということになるわけだし。
ヨーロッパはアメリカのことをどれくらい理解しているのか、ということはいつも心許ない、というかあまり理解していないんだろうなあといつも思う。要は、アメリカはヨーロッパ文明の末裔であって、現在の力的にはともかく文明的には我々から持っていったものでできているんだ、という侮りである。
トランプは誰にでもわかるような取引の言葉で世界を引きずりまわそうとするが、ヨーロッパの首脳たちから出てくるのは西ヨーロッパ諸国とその追随者にとっての仲間内の言葉、みたいに見えることが多い。トランプは事実認識が雑すぎるので弁で彼らに勝てない感じが出てきているが、まあそれは割と昔からそうである気がする。ヴァンスのような細かい点まで論うタイプの指導者になったときにはあれでは対抗できないだろうと思う。
アメリカにはアメリカの自らの文明としての誇りがある。世界最古の成文憲法は合衆国憲法であり、これはフランス革命の時のフランス王国憲法(1791年憲法)より古い。これはアメリカの指導者は折に触れて強調するが、ヨーロッパ側は「その元になった思想はイギリスやフランスだし」とアメリカの歴史をあまり正当に評価していない感じがする。ヨーロッパが衰退してきたのも、彼らがアメリカというものをちゃんと理解してきていないところも結構ある気がする。
この辺りのところ、中国が日本を文明において見下すところにちょっと似ている。日本は皇紀2685年だが、中国は4000年とか10000年とか主張する。日本の文明など全て中国から伝わったものだ、と彼らは考えていて、日本の独自なものというのを認めないから日本的なものも中国的なものと扱う傾向がある感じがする。
近代において日本が中国を凌駕していたことは彼らにとっては黒歴史であって、その時代に日本経由で(だけではないが)多くの西欧文明の成果が取り込まれていったわけだが、その過程で日本が行った西欧の概念の熟語化のかなりの部分を現代中国語は取り入れているのはよく知られている。ただそれも彼らにとっては漢字文化圏全体の努力による西欧文明の吸収、という以上には考えていないように思う。つまりは漢字文化圏=中国なので、その中の日本の占める位置については無頓着なのだと思う。逆に言えば彼らのいう「中国すごい!」もそういう無邪気なところから来ている感じもある。
そういうわけでアメリカも日本も評価されにくい位置にいるということは似ているわけだが、そのお互いはどうだろうか。
アメリカは戦争中に日本という国を理解するために突っ込んだ研究が行われたことはよく知られていて、その成果の一つが「菊と刀」という日本人論だと言われている。ドナルド・キーンなどもその研究の中で日本に対する研究を始めたという。その後も日本が貿易戦争の相手と意識されてくるとライシャワーやフォーゲルなどの著作が書かれているし、それなりに日本研究は行われてきた。
しかし日本はどうだろうか。日本の先進国対象の研究は英仏独に偏り、それにロシアが加わるくらいというのが定番で、アメリカ研究はその中でかなりマイナーな位置に置かれ続けてきた。以前にも書いたがトランプが出てきたことのアメリカ史的な意味は何か、という問題設定にストレートに答えられる人があまりいないのもそのせいだろう。
アメリカの大統領の中でトランプはそんなに特異ではない、といえるにはやはりアメリカ建国初期からの歴史や歴史的文書の理解が必要になるわけで、その辺のところを日本もまたもっと研究していかないといけないということを最近常々思っている。体力と時間的余裕が欲しいところである。
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