コロナ禍を描いた作品はなぜ描かれないか:人々を分断する要素の強まり/財務省はなぜ権力を握っているのか:議会が予算を決める権力を取り戻すためには
Posted at 25/01/24 PermaLink» Tweet
1月24日(金)晴れ
昨日は朝用事があると思ってバタバタして時間を確認しようと思ったらその予定が違う日だったことがわかってあららら、となってしまった。ただやることはいろいろあって、銀行を回っていろいろ仕事を片付けたり、お金の算段をしたり。仕事もそれなりにやることはやったので結構忙しかったし疲れたりはした。ただ仕事は暇なよりは忙しい方がいいし、だんだんいろいろなことが少しは回るようになってきた感じはなくはない。ただ、コロナ前と同じというわけにはいかないし、コロナ騒ぎが始まったのが2020年の初頭だったからもう5年も経っている。その間にこちらも5歳歳をとったわけで、やはり貴重な年月がかなり犠牲になったなとは思う。この時期に学生時代を過ごした人たちは本当に失われたものが多かっただろうなと思う。
しかしそれにしても、このパンデミックを正面から取り上げたマンガとかはあまり読んだことがなくて、一番正面から扱っていると思うのがバレエ漫画の「華麗なるグランドセーヌ」だと思う。これは主人公・奏(かなで)がコロナ禍で学校(イギリスのロイヤルバレエスクール)で滞在し学ぶこともできず帰国を余儀なくされたり、それにめげずに動画で見る「ガラ」をYouTubeで企画して上演したり、その悔しい思いを共有するコリオグラファーの友達が作ったコンテンポラリ作品を上演したり、と懸命に前向きな努力をしているのが描かれていて、この作品はコロナを描いた記念碑的な作品になるのではないかと思っている。
ただ、作品の趣旨からそれ以上のことを求めるのは良くないということは前提とした上で、コロナで無くなった人や後遺症の残った人については描かれていない。日本でも多くの著名人が亡くなっているが、世界的に見ればもっと、国によっては家族や親戚に犠牲者が一人もいない国はない、という程度の被害はあったはずで、そのことを描いた作品がまだない、というのはやや不思議に思う。
https://urasunday.com/title/3008
ただ、最近読んでいる「Change the World」にしても、東日本大震災での犠牲というのが一つのテーマになっているのだが、もう14年前のことだけど今になってようやく当時のことが作品化できるようになってきた、ということなのかもしれないとも思う。
第二次世界大戦が終わった後、いやその最中から、さまざまな戦争を描いた作品が作られていて、大和の沖縄特攻を描いた「戦艦大和ノ最期」や満洲からの引き揚げの苦難を描いた「流れる星は生きている」などの名作が多く書かれているけれども、戦争は完全に人為だったからむしろ書きやすいのかもしれない。パンデミックというある種の自然災害を描くことはむしろ難しいのかなあという気はしなくはない。
ただ、もうすでに世界はそんなことがなかったかのように動いている部分があって、それで大丈夫なのかという気もする。それへの対処に関してまださまざまな見方、さまざまな意見が対立する部分もあるし、逆にそのことについて考えたくない人もまだ多いだろうとは思う。この現象についてどのような作品に昇華されるのか、まだその描き方が世界は見当もついていないのかもしれない。
その理由の一つは、戦争や震災の体験はどちらかというと国民を一つにまとめる力を持った、戦争が嫌だとか人々の絆が大事だ、みたいなところがあるのに対し、コロナ禍は対策をめぐって人々、国民を分断させる方向に動いてしまった、というところが大きいのかもしれない。これは東日本大震災の時の原発事故に始まる、ということも考えらえるが、ポリコレとかエコだとかリベラルだとかの人々を分断させるwokeの力、科学対経済、そのほかさまざまな分裂要素が2011年より2020年になると飛躍的に強くなってきて、それが安倍元首相の暗殺や世界的にはトランプ米大統領の再選などにも現れているのだろうと思う。
そういう意味ではコロナ禍は現在進行中の事態の一側面に過ぎないとも言えるわけで、だからこそまだ俯瞰した見方が成り立ちにくい、ということなのかもしれないとも思う。
***
日本ではなぜ財務省が強い権力を握っているのか、についてこの記事が少しヒントを与えてくれるなと思ったものを。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S16131776.html?pn=2&unlock=1#continuehere
諸外国では日本のように財務省が強力な権限を握り国の進路を左右するような話はあまり聞かない。なぜ日本ではそうなのか、という理由の一つがこの記事を読めがわかると思った。簡単に言えば、財務省が出した原案から与党内での閉鎖的な事前審査でほぼ予算が決まってしまうからだ。今回の国会での予算修正が行われるのは28年ぶりなのだという。
諸外国では開かれた議会で予算が一つ一つ審査され、逐次修正がなされるのが普通であり、本会議は儀式的に決定する場ではなく、実質的に審議が行われる場なのだという。だから財務省の原案も当然変更され、「財務省だが出したものがそのまま決まる」ようにはならない。
予算を決めるのは本来議会の権限であり、日本でも大日本帝国憲法が成立して開かれた第一回議会に始まるいわゆる初期議会の時期は政府の提案した予算案が通らないことが多かったわけだ。政府は藩閥政府・超然主義であり、議会は自由党をはじめとする民党が多数派だったから当然なのだが。政府はいろいろ議員たちを籠絡してなんとか予算を通し、中江兆民が「無血虫の陳列場」と批判して辞職したりしていた。
これはいわば「議会政治が未熟だった」ため、ということが大きいわけなので、これだけ憲政史を重ねてきているのだから、もっと議会でオープンな議論をするように変えていくことは可能だろうと思う。事実上財務省での決定が最終決定になっているのは「予算を決定する権力」を本来持つ議会政治の観点からすれば異常なので、こういう事態を変えるためには国会で予算を議論し、どんどん修正するように変えていくべきだろうと思う。
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