フジテレビの落日とジャニーズの解体にみる「ポストモダンの時代の後始末」/先の見えない不安定な時代と国家権力
Posted at 25/01/19 PermaLink» Tweet
1月19日(日)薄曇り
今朝は今のところの最低気温がマイナス4.6度、そんなにすごく寒いという感じでもない。まあこれは昨日割ととりあえずの懸案がうまくいった感じで夜9時ごろから朝4時まで7時間しっかり眠れた(考え事ではない夢を見たのがちゃんと寝られた証拠だなと思う)のでやや元気がある、ということかもしれない。朝はだいたいお茶を飲むのだが、今朝はコーヒーを飲んだ。精神的なことで胃に負担がある時はコーヒーは飲めないので、まあコーヒーを飲めるほどは元気だと言えばいいか。
昨日は芥川賞をめぐる騒動について書いたけれども、今世の中ではむしろフジテレビの問題が「お茶の間を賑わせる」ところまで表面化してきている。元はと言えば元ジャニーズ、SMAPのメンバーだった中居正広氏の「女性とのトラブル」の問題だったはずなのが、フジテレビの社員の関与が表面化してきて、フジテレビ側の拙劣な対応によって騒ぎがどんどん大きくなり、ついには生命保険会社やトヨタなどの大手のスポンサーがコマーシャルを流さない、というところまで来ている。
テレビの問題が今まで騒がれたというのは1990年代にオウム真理教事件、坂本弁護士事件、椿事件などによってTBSが叩かれ、当時の看板キャスターだった筑紫哲也氏が「TBSは死んだ」と言い放ったのが記憶に残っているが、TBSが強いとされていた報道の問題でつまづき、フジテレビが今回ドル箱であるバラエティの問題でつまづいたということで、やはり強者のウィークポイントはストロングポイントそのものの中にある、というある種の真理がまた証明された感はある。
われわれ1960年代生まれにとってはテレビというものは物心ついた時からあり、いろいろな意味で情報源の王者であり続けたわけだが、1980年代をピークにその影響力には翳りが見え、1990年代にはTBSの問題が起きた。そして2010年代には動画サイトが現れて一気に視聴者が持っていかれ、映像等についてもサブスクサービスが出てきてメディアの王の地位が相当揺らぎ、ついにある意味落陽の時代を迎えつつあるとすれば、我々の人生の中でテレビの占めて来た位置の大きさを考えるとき、感慨深いものがあるとは言える。
私は大学生の時から新聞を取っていたが新聞は20世紀のうちに取るのをやめた。実家では地元紙を取り続けているが、やはり地元のニュースは直接の人間関係につながることもあるので取っていた方がいいということもあるとは思う。テレビについては実際のところ90年代くらいからはニュース以外ほとんど見なくなっていたのだが、2010年代からは逆にアニメや大河ドラマを見るようになったのでその分見ている時間は増えた。しかし最近ではニュース番組でも報道姿勢がwoke方向に偏向しているものが多くなっているので見ている途中で消すことも増えている。ニュース自体はテレビも新聞も見なくてもネットで入ってくるということもあるし、逆にネットで知った海外の事件がどう報道されているかなどを見るためにBSの海外ニュースまとめ系の番組を見たりする感じになっている。
フジテレビの問題というのは、テレビ界を少しでも知ってる人からしたら、「今それが問題になっているのか」というようなことで、今までも散々マンガなどではネタにされていたし、最近では【推しの子】で取り上げられていたことは記憶に新しい。よりエグい話は【推しの子】では流石に取り上げられていなかったが、私の知り合いの80年代にテレビに就職した人の中でも女子アナになった人はいて、「笑っていいとも」の新人女子アナ紹介みたいなところで見たことがあるが、よく走らないが精神的な理由でやめた、と人づてに聞いたことはある。その後その人には会ってないので詳細は知らないのだが、今考えてみると似たようなことがあったのかな、とは思ってしまう。
私の知り合いにはテレビに就職した人は多いのだけど、「バラエティの現場がどんなにひどいか」ということはいろいろと聞かされていたし、でも一般の大学生の間でもある程度は聞こえていたから、そういうことを承知の上で就職したんじゃないのか?みたいな感じが強くて、あまり同情はされていなかったと思う。
今思うとそれも時代の空気のようなもので、私の周囲にはどちらかというと「意識が高い系」の人が多かったから「悪と知りつつその中に飛び込んでやりたいことをやろうという心意気」みたいなものが評価される感じはあったけど、数年後に友人の葬式などでそういう人にあっても概ね肌の艶が悪い感じになっていて、やはりあまりいい職場ではなかったんだなと思ったことはあった。まあ、教育の現場から撤退せざるを得なくなった自分が言うことでもないよな、と言うのもあるので、あまり人の職種を批評するのもな、と言うのもあったわけだけど。
だからそう言う意味でむしろ「悪と戯れつつ自分のやりたいことを実現するスキゾ的な生き方」みたいなものがかっこいいとされていた80年代の雰囲気みたいなものをいまだに頭の中で持っている人たちはいて、だから我々の世代が「新人類世代」とか「バブル世代」などと言われたのだよなと思うのだけど、そのバブル世代も退職しつつある今になると、もうそう言うテレビの持つ虚飾の力みたいなものを信じられる人たちがいなくなって来ていて、それが昨年のジャニーズ事務所の解体や今回のフジテレビ問題にも現れているのかもしれないなと言う気はする。そう言う意味では、テレビ・芸能界でも「ポストモダンの後始末」が進んでいると言うことである気はする。
今後どうなっていくのかはまだわからないが、新聞やテレビという「第4の権力」が存在が揺るがされてくると三つの権力、すなわち政府の権力の存在の強さが改めて屹立してくるわけで、それらはロシアや中国のような権威主義的国家の不気味さ・凶悪さとともに、「民主主義に支えられた非人道政権」であるイスラエルや、民意の少しの揺れで左右に触れすぎて未来が予測しにくいアメリカなども含めて、国家というものの存在とどう向き合っていくかということが改めて問われていく感じはする。
日本国家も安倍政権の時代は長期安定政権であったということもありある種の安心感があったわけだが、コロナ禍でつまづき、安倍さん事態が暗殺されて、岸田さんの気まぐれで石破政権になって過半数を割り込み、旧態依然の自民党政治が束の間の栄華の夢に酔っているという感じで、国民民主党など新しい希望の持てる政党も出て来てはいるが、実際にどうなるかはなってみないとわからないところが多く、全然先を見通せる感じがない。
安倍政権の時代に進行したことはうまくいっているとはいえない大学改革・大学入試改革など良くないことも多々あるのだが、良くも悪くも「予定通りに進行する感じ」というのがあったのが安定感の理由だったのだろうと思う。もちろん悪い方向に進行するのは是正すべきだが、より悪い方向に動こうとする圧力が強まっている感じは如何ともし難い感じがあり、それに対する危機感をどの政党に託したらいいかというのがはっきり見えないのが現状だろう。自民党の保守派も選挙までに火の手を挙げないと大変なことになるのは明らかなのだが動きが鈍いし、内閣の方向に異論を唱えられるのが自民党の良さでもあるのだから、頑張って欲しいとは思っている。
後の問題はクレジットカードの決済機関が表現規制の権力を持っているということは地味に大きな問題だと思う。クレジットカード会社だけでなく、決済代行会社の問題もあるようであり、そのあたりに日本独自の決済システムを作れる方向で動いてもらえればいいと思うのだが、その辺りはまだ見えて来ていない。
まあ自分にできることは、こうやって時代の方向性を分析しつつ新たな方向性を提案(関係者が読んでなければ意味ないが、世論形成に少しでも役に立てばいいというくらいか)できればいいというくらいで、まずはもっと読んでもらうように努力しなければなあと思っているので、いいねとかもしてもらえると大変ありがたいです。
有料記事ももっと書いていこうとは思うのだけど、どこで区別をつけるかと言えば広く読んで世論を動かしたいと思う内容なら無料、これを教えるのはちょっと惜しいと思うけど書いちゃうぞ、みたいなのが有料記事ということになるので、基本ケチだからか有料記事を書くこと自体が苦手ということがある気はしなくはない。ケチはお金が儲からないというのは本当にその通りだとは思うので、まあ頑張ってそういう記事も書いていきたいとは思う。
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